暑い夏が終わって(まだ暑さは続く)
院長 廣辻徳彦
最近では毎年のように、「過去50年で経験したことがないような」とか「平年の8月1ヶ月分を超える雨量が1日で降った」と例えられる大雨が降ります。8月下旬に発生した台風10号は当初は暴風で、上陸後は大雨を降らして台風近辺だけでなく、遠く離れた関東や東海地方にも冠水や新幹線をストップさせるなどの影響を与えています。新幹線については、突然止まるよりは「計画運休」という予告をしてもらう方が良いとは思いますが、国の大動脈であることを考えれば本数を減らしてでも走ってもらいたい気もします。9月になっても気温、海水温が高いことからまだまだ台風には注意が必要です。当院は土曜日も診療していますが、土曜日がお休みの人にとってはこの9月は2回も3連休があります。休日にリフレッシュすることはとても大事なことなので、台風などで邪魔されないように祈りたいものです。
8月前半はオリンピック、高校野球で盛り上がりましたが、今はパリでパラリンピックが開催されています。台風や自民党の総裁選、兵庫県知事のニュースが報道されている関係もあるのか、放送されている時間はどうしても少なくなりがちです。しかし、一般のスポーツよりもある意味激しくぶつかったり、ケガをするかもしれないというプレーがあったりで、人間の持つ力が素晴らしいものであることを見せてくれる大会でもあります。前回も書きましたが、日本の誰それが金メダルという見方だけでなく、パラスポーツのアスリートのプレーを、「凄い!」と楽しんで観たいと思います。
自民党の総裁選は自民党が政権党である限り、国の首相を決める選挙です。しかし、一般人に投票権はなく自民党の党員のみが投票できます。自民党員になるには別の党員に紹介してもらい、住所や氏名を登録して年会費4,000円を支払って申し込めばいいそうです。おそらく少しばかりの審査はあるかと思いますが、党員になって2年以上継続して党費を支払えば総裁選の選挙権が得られます。他にも2年以上1万円を超える寄付を自民党にした個人や法人の代表にも選挙権が与えられます。史上最も多くの候補者が立候補するらしいのですが、最終的に決選投票になれば(元)派閥の力関係で決定することになるのでしょう。自らの懐にお金を貯めるより、少しでも国民に向いてくれるような人になって欲しいと、サランラップよりも薄い期待を持って見守りたいと思います。あと、9月にはもう少し気温が下がってほしいものですね。
健康とは!(パラスポーツを楽しむ)
ちょうどパラリンピックの開催期間ですので、パラスポーツについて考えてみました。パラスポーツとは従来「身体(肢体不自由)、視覚、知的などなんらかの障害がある人のためのスポーツ」とニュアンスでしたが、「障害の有無や年齢に関わらず同じフィールドで行える(楽しめる)スポーツ」のことも意味します。一般のスポーツのルールを一部変更するとか、別の用具を用いて行うことでそのスポーツを行えるようにしている工夫をしています。もともと障害のある人のために考え出されたスポーツ(ボッチャなど)もありますし、ブラインドサッカーなど条件をそろえれば障害の有無に関わらず共に楽しめるという側面が注目されています。
柔道やレスリングで体重別に階級が分かれているのと同様、障害にもさまざまな程度があります。例えば、陸上競技では障害の種類や程度によって33のクラスに分かれています。「T13」などで区別され、1文字目はTrack(主に走る種目)とField(投擲や跳躍種目)、2文字目は障害の種類、3文字目は障害の程度を表します。障害の種類は1:視覚障害、2:知的障害、3:脳原性麻痺など6項目に分類され、立位でもしくは車椅子や投擲台(立位で競技できない車椅子の選手が使う固定された椅子のような器具)のどれで競技するかによる分類もされています。障害の程度もそれぞれ分類があるのですが、視覚障害であれば、1:全盲から光覚弁まで、2:手動弁から0.032までか視野が中心10度以内、3:0.04から0.1までか視野が中心40度以内と分けられます。他にもゴールボール競技は視覚障害の選手が対象ですが、程度によるクラス分けをせず、全員がアイシェード(目隠し)をつけることで競技の公平性を担保して競技をします。ラグビー競技では障害の程度と性別で各選手に点数がつけられ、各チームが同程度になるよう出場している選手の合計点数に上限を設けています。
パラスポーツを行うためには特別な器具や装具が必要ですし、練習環境やサポートメンバーも一般のスポーツより得られにくいところがあります。経済的にパラスポーツそのものができない環境の国もあるはずです。そういった側面はありますが、パラリンピックを見ているとそれぞれの競技で素晴らしいプレーに出会えます。「健康とは」というのがこのページのお題です。その答えはいくつもあるのでしょうが、パラリンピックの中にも一つの答えがあるように思われます。