1年の始まり
院長 廣辻徳彦
新年あけましておめでとうございます。穏やかに新しい年を迎えられたこと、お慶び申し上げます。
年の始まりには、干支や暦の話題が自然と話題に上ります。今年の干支は丙午(ひのえうま)、17世紀の江戸時代に井原西鶴が「好色五人女」の中で、恋人に会う目的で放火事件を起こして死罪になるストーリーの「八百屋お七」の物語を書いたことから、「丙午の年に生まれた女性は気性が激しい」という偏見が定着したと言われています。全くの迷信ではありますが、今から60年前の1966年には日本での出生数が大きく減少し、人口構成を示す「人口ピラミッド」に明確なくぼみが生じました。戦後15年以上たったあの時代でも、おかしな言い伝えが社会の中で生きていたのだと考えられます。
科学的根拠のない迷信であっても、人々の不安や思い込みが集まると実際の行動や統計にまで影響を及ぼします。丙午の年は、まさに迷信が社会現象となった象徴的な例といえるでしょう。迷信と言われているものの中には、時に人の心を安心させ暮らしの知恵として受け継がれてきたものもあるのでしょうが、現代では医療や科学の進歩により、経験や言い伝えよりも客観的なデータや根拠に基づいた判断が重視されるようになっています。近年の少子化傾向を考えれば、今年の出生数は昨年よりも減る可能性が高いと思われます。しかし、「丙午の女性」の言われ自体を知らない世代が増えていることも併せて考えると、丙午だから出産を控えようと考えられた60年前のような現象はもう起こらないと思われます。
国際紛争や初めての女性首相の誕生、株高や物価上昇、自然災害など昨年はいろいろなことがありました。個人の力ではどうにもならないことも多いのですが、内側に目を向けると自分に対してはできることが少なくありません。生活習慣や身の回りの環境改善など、小さなことでも意味のあることはいくらでもあります。いつからでも始められることですが、「1年の初め」は区切りとして絶好のチャンスと言えます。社会は常に変化していきますが、自分自身をしっかり持って1年を過ごすことが重要だと思います。
さて、広辻眼科には大きな変化があります。ほぼ40年に渡って検査などを担当してくれていたスタッフが2人退職します。定年でもないので強く慰留をしたのですが、新しい道で頑張って欲しいと思います。新しいスタッフが仕事に慣れるまでは勝手の違うこともあるでしょうが、どうぞよろしくお願いいたします。
健康とは!(今年も健康に)
確実な統計ではないのですが、日本人の約6割以上の人はお正月三が日の間に初詣に出かけるそうです。多くの方は、「今年も(は)健康で過ごしたい」と願われたのではないでしょうか。日本人の宗教観は比較的緩やかで、クリスマスをお祝いしたすぐ後にお正月で神社やお寺に参拝します。自然のすべてのものに神様が宿るという感覚を昔から持っているからでしょうか、いろいろな神様や仏様にお祈りをして御利益がもらえるのであれば、それはそれでいいのかもしれません。コロナウイルスが蔓延する前までは、阪急電車の終夜運行があったので、30年以上にわたって高校時代の同級生たちと、宝塚神社から清荒神まで深夜から元日の朝に歩いて初詣(+初飲み会)をしていました。この数年は終夜運行が再開されないこと、膝を痛めて長距離が歩きにくくなったこと、孫を連れて子供たちが集まってくれること、などいろいろな理由から自宅で過ごすようになりましたが、近所の神社ではやはり今年1年の健康を祈念しています。もちろん神様にお祈りするだけでなく、何かを実践をしなければ、健康は得られません。日頃から食事の内容や運動などに気をつけて生活するのはもちろんですが、5−60歳を超えるようになれば健診などを活用するのも良いかと思います。
丙午の迷信ではありませんが、「年のせい」や「疲れているだけ」と考えていた症状の中に、実は治療や経過観察が必要な病気が隠れていることも少なくありません。眼では緑内障や加齢黄斑変性という病気で、初期にはほとんど自覚症状がないのに、気づいたときに進行しているものもあります。何となく見えにくいという症状で受診された患者さんに、進行した病気を見つけた時は大変複雑に思います。「眼鏡店で眼科受診を勧められた」というきっかけで受診される場合もあります。視力の低下感をメガネの度数の変化と考えて、眼科ではなく眼鏡店に行かれる方は結構多いようです。眼科受診を勧めてくれる良心的な眼鏡屋さんが多いとは思いますが、中にはメガネだけ購入させるお店もあるようです。眼の状態が気になる時には眼鏡店ではなく眼科を受診することも大事なことであると覚えておいていただきたいです。
実際には科学的根拠だけでなく、いろいろな習慣やジンクスを取り入れながら生活していることも多く、そういう自分なりの慣習が精神的な安定につながることもあります。神頼みも根拠に乏しいものではありますが、心の健康にはバランスも大切です。健診なども取り入れて今年も健康でお過ごしください。





