眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m225

投稿日 2024年11月5日

選挙の秋

院長 廣辻徳彦

先月の最終日曜日に行われた衆議院議員選挙で、自民党、公明党の与党が惨敗しました。もともとが過半数という弱気な目標でしたが、現職の大臣や党代表までが落選するという結果でした。岸田政権が政治と金の問題にまともな対処をしなかったため、誰が総裁になっていても変わりはなかったかもしれません。自民党が非公認候補の支部にも2,000万円の準備金を配っていたことに、まともな言い訳ができなかったことも向かい風になったようです。選挙前の大事な時期に誰がこんなことをしたのか党内で問題化できないのが自民党のダメなところなのでしょうし、石破首相の統括力が欠如しているといわれる所以なのでしょう。国民を舐めすぎてはいけません。票が流れた結果議員数が増えた立憲党に期待はできませんが、意外なところで議席を増やした国民民主党の代表が選挙後も比較的明確な言葉で意見を言っている感じがします。私たちは選挙で票を投じて自分たちの議員を決めることができます。こんなに大事な権利を行使しない人が今回の選挙でも半数近くもいました。とてももったいないことだと思います。
選挙の前日、宝塚市の医師会が創立70周年を迎えたということで、ホテルで記念式典がありました。選挙運動はその日の午後8時までだというのに、午後6時開始の宴会の最初に、兵庫6区から立候補している自民、立憲、維新の3候補が来賓として祝辞を述べにいらっしゃっていました。それぞれが短いスピーチをされたあと、30秒もしないうちに会場を後にされて最後のお願いへと向かわれたわけですが、立憲の候補が小選挙区で、自民、維新の候補が比例区で当選されました。前回の選挙に引き続き、同じ選挙区内で3人の議員が当選するという状況になりました。さて、今月は全国の話題になった兵庫県知事選挙があります。前知事を含めて何人かが立候補されていますが、今回も必ず投票してわずかでも意志表示をするつもりです。
10月も終わり頃になって、ようやく秋めいてきました。まだ暑かった10月の連休に福井県の三方五湖と年縞博物館、恐竜博物館に行ってきました。恐竜博物館は3回目で新装オープン後初めての訪問でしたが、設備と展示が充実してますます来訪者が増えそうに思いました。湖中の堆積物で過去7万年の年代の物差しになるという「年縞」は、科学的にもとても価値があるものだそうです。福井県には美味しいものや温泉もいっぱいあるので、機会があれば是非とも訪れてみてください。

健康とは!(認知バイアス:心理的な判断の誤り)

最近関東地方を中心に、「闇バイト」で集められた若者たちの強盗事件が相次いで起こりました。以前にも「ルフィ事件」といって、フィリピンにいた首謀者たちが同じような強盗事件を起こさせたことがありましたが、同じような事例と言えるでしょう。免許証などを開示したことで住所が特定され、家族の情報も握られて抜け出せなくなると言いますが、たとえ脅迫されたとしても強盗や殺人の実行犯となってしまえば人生を棒に振ることになります。「運転するだけで5万円」だとか「ホワイト案件」などわざわざ書いてあるアルバイト情報が怪しいことは、冷静に考えれば分かりそうなものです。若者がどうしてこのような案件に取り込まれていくのか不思議で仕方がないのですが、「確証バイアス」という心理効果が働くことでこのようなおかしな判断をしてしまうという説明がありました。
この欄でもコロナウイルス感染がまだ猛威をふるっていた頃、「正常化バイアス」という記事を書いたことがあります。確証バイアスも正常化バイアスも「認知バイアス」と呼ばれる心理学的な用語の分類に含まれるものです。認知バイアスは「人間が物事の意思決定をするときに、これまでの経験や先入観を理由にし、自分の都合の悪いことを無視してでも合理性を欠く判断を下してしまう心理傾向」のことを指します。そのうち、確証バイアスは「自分の都合の悪いことを無視してしまう心理的傾向」といえます。運転だけでは犯罪ではないだろうと考えたり、怪しく考えられる情報は指示役とのやりとりの中にあるのに、「単純なバイトで簡単な仕事」という情報だけを取り入れて「自分だけは大丈夫」という考えに陥ってしまったりする思考状態です。インターネットの買い物で、いい評価だけを取り入れがちになるのも確証バイアスです。正常化バイアスは心理的ストレスから心身を守るための防衛作用として働くものです。しかし非常時や災害時に、「自分だけはコロナにかからないだろう」とか「ここまで津波は来ないだろう」など、物事を過小評価して対応を誤ってしまう可能性も持っています。
最古の殺人は、聖書に出てくるアダムとイブの子供であるカインが、その弟アベルを殺したものとされています。その真偽はともかくですが、若者が実際に強盗、殺人などの犯罪を犯せば、その将来にまで影響が出るのは分かりきったことです。あまりに大きいリスクに対し、心理的なバイアスで判断を誤らないようにして欲しいものです。