眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m234

投稿日 2025年8月1日

戦後80年

院長 廣辻徳彦

毎日暑い日が続いています。兵庫県の丹波市柏原では41.2℃という観測史上一番の気温を記録しましたし、北海道で40℃に迫ることもありました。夜も気温が下がらない熱帯夜への対策も必要です。
暑い8月、8月15日は太平洋戦争が終結した日です。当時の記録で、8月の平均気温は東京26.7℃、大阪28.3℃と今より低かったのですが、15日は東京が32.3℃、大阪が35.1℃まで上がり、茹だるような暑さの中、玉音放送が流れたのかと思います。私は昭和37年生まれなので、全く戦争体験がありません。それでも両親は10代で戦争に突入した時期を生き、二十歳の頃に終戦を迎えているので、母の兄が沖縄戦で亡くなった話や空襲の体験などを聞いていて、本当に戦争は怖いと思った記憶があります。そう、あの戦争が終わった年、沖縄戦、東京や大阪、神戸の空襲、広島と長崎に原子爆弾が落とされた年からもう80年が経過したのです。神戸の空襲は野坂昭如さんの「火垂るの墓」、瀬尾河童さんの「少年H」などに登場しています。何をどう勘違いしてあの戦争に突入してしまったのか、国民がどうして戦争に反対できなかったのかなど今さらどうにもできないのですが、それでもいろいろなことを考え続ける必要があると思います。
幸いにしてそれ以後、「日本」は国として戦争をせずに済んでいます。しかし、中東戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン紛争や湾岸戦争、最近ではウクライナ戦争やイスラエルのガザ地区侵攻など、世界中が平和ということはありません。「平和」は誰もが望むものですが、領土問題や宗教の違いから争いは生じてしまいます。私も戦争は嫌(絶対反対)ですが、国連はロシア、中国(+アメリカ)という常任理事国が当事者の紛争に対して全く無力で、しかもこの二つの国は日本のすぐ側にあるのです。ですから、有事の際に国を守る自衛隊(=軍隊)は必要だと考えますし、もっと給与や待遇面を考えてあげて欲しいと思っています。自衛隊を肯定するからといって、短絡的に私が戦争推進論者であると思う人はいないと思いますが、戦争を望まなくても巻き込まれてしまう現実があります。「戦後80年」、あの戦争の反省をしつつ、こう言った節目に自衛隊や国防のあり方をしっかりと議論しあうことも大事だと思います。
アニメの「火垂るの墓」は1988年の上映時、「となりのトトロ」と2本立てでした。トトロを見た後に火垂るを見て、複雑な思いを感じた人も多かったと聞きます。今から思えば豪華など同時上映ですけれど。

健康とは!(災害時の健康)

前回は糖尿病の治療薬でもあり、肥満に対しても効果がある注射薬を紹介しました。ただ、糖尿病や肥満の治療の中心はなんと言っても食事であり、食生活は健康にとって最も重要なことの一つと言えます。上に戦争の話を書きましたが、戦時中だけでなく戦後においても食料は大切です。太平洋戦争の後、日本中で食料問題は深刻でしたし、イスラエルのガザ地区への侵攻(きっかけはハマスの暴挙ですが、10倍どころか100倍以上返しでは「侵攻」が相応しいと思われます)でも、食料不足が重要な問題となっています。ゲゲゲの鬼太郎の作者である水木しげるさんは戦争で片手を失っていますが、従軍した時のエピソードをもとに戦争についての漫画をいくつか書いています。「総員玉砕せよ」という作品の中で、南海の島での戦闘で周囲を包囲されつつ食べるものがなくなった極限状態のことが描写されています。作者自身が経験した事実に基づいた、戦争はもとより日本軍の精神論的戦略の愚かしさなどが描かれています。先日新聞のコラムに、日本軍は中国侵攻の際に食料を十分に準備せず、兵站部隊が現地調達するマニュアルを作っていたという記事がありました。そのような計画性のなさでよく戦争を維持しようと考えたものだと呆れます。もちろんここでは戦争論を書きたいわけではなく、「健康」である状態のその前の「まず命を」という段階で食料問題(食生活)は大事だと強調したいのです。
今の日本に日々の食事に窮している人がいないわけではないですが、世界中の状況から考えれば概ね平和で安定したそれなりに健康な生活が送れていると言えます。それでも「地震大国」、「台風銀座」などのことばがある我が国では、一度災害があると水を含めた食料問題やトイレなどの衛生環境問題が顕在化します。たとえば、阪神大震災では被害が比較的狭い範囲で道路も発達していたので、三方の陸路や海路から物資が豊富に届きました。しかし、東北のように広い範囲であったり北陸のように唯一の道路が遮断されてしまったりでは、支援がなかなか届かなかった事実があります。最近NHKの災害コーナーで携帯トイレを準備しておきましょうなど提言がされています。災害はこちらの意志にかかわりなく降りかかってきます。命を繋ぐために2、3日持つ程度の携帯用食と水、あとは衛生問題からも携帯(非常)用トイレを準備しておくことは大事なことかと思います。ペットボトル型で水を濾過できる用具もありますし、携帯用トイレは渋滞用などで車に入れておくタイプもあります。備えあれば憂いなしです。