眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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投稿日 2024年8月1日

パリオリンピック

院長 廣辻徳彦

パリオリンピックが始まりました。前回の東京大会がコロナウイルス感染症のせいで1年遅れたため、通常の4年間隔ではなく、3年ぶりのオリンピック開催です。開会式は日本時間の真夜中に行われたため流石に見られませんでしたが、折角の屋外での式典が雨に見舞われたというのは残念でした。ギロチンにかけられた自分の首を持ったマリーアントワネットが登場したり、最後の晩餐の絵をもじってキリスト教を揶揄したような表現があったりしたとも聞きます。日本でそのような表現をするとは考えもつきません。雨の中、長い間船に乗っていた選手たちにとって、そういったセレモニーが良かったのかも評価できにくいところです。オリンピックでは日本勢の活躍を大いに期待したいところではありますが、世界最高のレベルを持った選手たちが集まる大会です。どこの国かに関わらず選手の皆さんが実力を発揮できる大会であるように、また良いプレーに対しては大きな賞賛が集まるようにあって欲しいです。速さや高さを競う、または点数をつけて勝ち負けを決める以上、思いがけない結末に泣く選手もいれば、予想以上の輝かしい結果を出す人もいるでしょう。まわりで無責任に騒ぐようなことをせず、オリンピックを楽しみたいものです。
オリンピックは国ではなく都市が開催することになっています。ですから、東京大会の閉会式で引き継ぎをしたのは当時の都知事の小池百合子氏で、オリンピック旗を受け取ったのは先日セーヌ川で泳いでパフォーマンスしたパリ市長のアンヌ・イダルゴ氏でした。テレビを見ると「パリはとても綺麗」、「街が素敵」、「オシャレで日本とは大違い」とかいう声を聞きます。確かに日本の街とは「石造と木造」という文化の違いもあり、教会や博物館、街並みに感動することは数えきれません。しかし、道を歩けば犬の〇〇がたくさん落ちていてゴミも多く、街中落書きがあって決してきれいとは言えません。むしろ日本の方がよほどきれいで安全と思います。訳のわからない「パリへの憧れと幻想」が目を曇らせているのでしょう。下水道の整備も日本とは比べるべくもないので、セーヌ川で泳がされる選手は大変だと思います。
先月の都知事選は現職の小池知事の圧勝でした。比較的若手の候補が3位に結構な大差をつけて2位に入り、しばらくはテレビやネットのニュースで取り上げられていましたが、もうそれも過去の話題。次はパワハラ問題に揺れる地元の兵庫県知事の進退がどうなるか、少しばかり注目しています。

健康とは!(熱中症)

最近の夏は、毎年これ以上暑くなっては困るというレベルを超えて温度が上昇しているように感じます。関東、特に群馬県や埼玉県周囲では40℃に届く(超える)気温です。日本は温帯という気候帯(温暖湿潤気候)に分類されています。列島が南北に長いので北海道など北の地域は亜寒帯、南西諸島は亜熱帯に属していますが、季節風の影響を受けて四季もはっきりしています。ところが最近の温暖化の影響か海水温が上昇しているらしく、海の中の魚やサンゴなどの生態も変化していると聞きます。このままでは、将来日本の気候帯が温帯から亜熱帯に変化していくことがあるかもしれません。
暑くなると毎回書くのですが、これからの季節は熱中症対策が大事になります。この暑さの中、大人でも熱中症に気をつけなければなりませんが、子どもと高齢者では特に注意が必要です。子どもは汗をかく能力が未発達で、汗の代わりに皮膚の血流量を増加させ、体の表面から周囲に熱を逃がして体温を調節しています。子どもの体格は大人よりも体重に対する体表面積が大きく、周囲の温度環境の影響を受けやすい(熱しやすく冷めやすい)という特徴を持っています。気温が皮膚温よりも低い場合はよいのですが、気温が皮膚温よりも高い場合や真夏の照り返しの輻射熱が大きい場所ではその影響を受けやすくなって、熱しやすい子どもの深部体温が上がって熱中症のリスクが高まります。高齢者では暑いことを感じたり、体内の水分量が減少してのどが渇く感覚を感じにくくなったりする傾向があります。通常、脳が暑いと判断すると、身体は自律的に皮膚の血流量や汗の量を増やし、体内の熱を周囲に逃がそうとします。しかし、老化が進むとそれらの反応が遅れ、体温上昇に伴う対応をしにくくなるのです。そのため、高齢者では身体の熱を周囲に逃がすことができにくくなり、深部体温が上昇しやすくなって熱中症のリスクが高まります。
最近は暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)という指数が公表されています。気温:湿度:輻射熱を1:7:2で換算し(風:気流も関係します)、熱中症になりやすい状況かどうかを判断材料にできる指標です。環境省の「熱中症予防情報サイト」で全国の数字を確認できます。熱中症は命に関わるので、日中は不要の外出をしない、室内、夜間でも必要に応じて冷房をかける、水分と塩分の補給をする、十分な睡眠を取る、子供や高齢者には周りが気を使うなど、予防や対策をして欲しいと思います。