新しい首相(期待ができる?)
院長 廣辻徳彦
9月もお彼岸まで大変暑い日が続きました。秋分を過ぎてようやく朝晩が過ごしやすくなりましたが、日中はまだ汗拭きのハンカチを手放せません。悲しいことに、大雨の被害が正月に地震に見舞われた能登地方に起こってしまいました。せっかく復興の兆しのあった家や店舗に土砂が流れ込んでいる様子を見ると、天災とは言っても神様なんとかしてくださいという気持ちになります。阪神大震災の時に全国のJR、電力会社、ガス会社などから救援部隊がきてくれていました。今回もそういった援助は行われていると思いますが、日本中から支援をしてあげて欲しいものだと思います。
自民党の総裁選挙の結果、5回目の挑戦の石破氏が新総裁に選ばれました。一次選挙の結果を見て、アメリカに先立って日本に初めての女性首相が誕生するのかとも期待したのですが、どのような思惑が働いたのか大逆転の結果となりました。この1日に国会で総理大臣に選出され、正式に組閣が発表されます。最大野党の立憲民主党も元首相の野田氏が党首に選ばれ、公明党の党首も交代しました。与野党ともに、これからの日本の舵取りをうまくしていっていただきたいです。ただ、衆議院の解散総選挙が早々にあるという話で、各党の勢力分布も変わるのでしょうが、政治資金などの問題をあやふやにしないで欲しいです。混乱の続いた兵庫県知事のパワハラ問題は、知事が議会の不信任決議を受け失職という結果になりました。パワハラは論外ですし、おねだりも情けないことと思います。ただ、知事の言い訳にも出てきたように、上役が下のものを叱責する時には言葉が強めに出てしまいますし、知事に特産品をアピールしてもらうメリットも全く理解できないわけではありません。県民に信を問うという18億円をかけて行う出直し選挙でどのような判断がされるのでしょう。私にも1票の権利があるので、どちらの選挙にも絶対に行くつもりです。
暑さと大雨が気になってしまうこの頃ですが、北海道からは紅葉の便りが届いているようです。今月もまだ日中真夏日になるところがあるとの天気予報ですが、木々が色づくための昼夜の寒暖差は程よくあるらしく、今年は例年並みに綺麗な紅葉が楽しめそうだということです。京阪神では11月中旬から下旬を中心に、前後半月ぐらいがいい季節です。嵐山や東福寺など京都の名所は人が多すぎて大変ですが、もう少し季節が進めば私も近くの布引の滝あたりを散策してみようと思っています。
健康とは!(10月から薬剤費が変わるかもしれません)
この10月から、「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養」という制度が始まります。選定療養というのは患者さんが追加費⽤を⽀払って選べる特別な医療サービスで、保険診療と組み合わせることのできる⾃費診療と言えます。入院の際の差額ベッド代や、紹介状なく⼤病院を初診で受診した際などの費用、眼科では白内障手術の際の多焦点レンズが該当します。先発医薬品とは最初に薬を開発した製薬会社の薬のことです。薬の開発には創薬、開発、臨床試験を経て、有効性や安全性、品質が証明されたのち、厚労省に承認申請をして発売されます。開発から発売までは10〜15年以上を要することが多く、研究を始めた物質が薬として販売される確率は数万分の1、一つの薬の開発には500億円以上がかかると言われています。後発医薬品( ジェネリック医薬品) は先発品の特許(20〜25年)が切れた後に販売される医薬品で、開発費用がかからないため先発品より安価で利用できます。
今回の制度は、後発医薬品のある薬で患者さんが先発医薬品の処方を希望される場合に、「先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当に当たる特別の料金(選定療養費)を徴収します」というものです。通常の医療費、医薬品とは異なり消費税がかかります。いくつか例外はありますが、①後発医薬品の上市後5年以上のもの(後発医薬品への置換率が1%未満のものは除く)、②後発医薬品の上市後5年を経過していなくても、後発医薬品への置換率が50%に達しているもの、③先発医薬品の薬価が後発医薬品の最も⾼い薬価を超えていること、という条件を満たす薬剤が対象になります。結局は、国の医療費の一部を、先発医薬品を希望する患者さん負担に置き換える政策と言えます。患者さんと売り上げの減る先発医薬品メーカーが損をするという図式です。左図の上は先発品、中央は後発品の医薬品を選んだ時のイメージです。下は10月から価格差の1/4が特別料金になるということを示しています。健康を守る大事な医薬品のことなので、経緯を見守りたいと思っています。