眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m214

投稿日 2023年12月5日

平和な年の終わりを

院長 廣辻徳彦

今年もはや12月。夏日が11月初めまで続くようになり、紅葉の見頃が毎年遅くなることを感じながら、例年通りあっという間に年末が近づいてきます。10月7日に始まったイスラエルとハマスの戦いはようやく休戦状態(11月末現在)になりましたが、ガザ地区に暮らす多くの一般人や子供を巻き込む悲惨な状況になっています。元々はハマス側が仕掛けた攻撃で、イスラエル側に約1200人(当初は1400人と発表)の被害と200人以上の人質を拘束されるという被害が出ました。しかし、その後死者の数が増えるのは一方的にガザ地区側だけで、1万5千人とも言われるその大半がハマスの構成員ではなく市民や子供です。ローマ帝国に国を追われナチスに迫害を受けたユダヤ民族が、第二次大戦後にパレスチナの地にイスラエルを建国しました。その際、そこで暮らしていたアラブ民族を追いやったことに端を発する複雑な中東問題(中東戦争や多くの紛争を含む)を考えれば、どちらかが正しいと言うことはできません。ですが、これだけ市民を巻き込んでしまっては、イスラエルが攻撃の手を引きながら休戦へ向かわないと収拾がつかないと思われます。戦闘の終結を期待します。昨年からのウクライナ問題は解決の目処が立たない状況が続いています。こちらは善悪がはっきりしているのに、一方が大国であるため国際社会がこれ以上の手出しができないという困難な状態です。戦争や紛争がない世の中になって欲しいですが、そういった手段を誇示する国や組織があります。現実的に考えて対抗手段を持たざるを得ないことが残念ですが、それを行使しないように努めたいものです。
12月は天皇誕生日がなくなってしまったので、6月とともに祝日のない月です。年末の休暇があることとクリスマスや年末商戦で少しばかり「浮かれる」分、盛り上がる気持ちになるところが少しはいいところです。昔は年末になると借金取りや売掛金の回収など、お金の面で忙しかったと聞きます。さすがに借金取りは昭和の伝説かと思っていたら、最近はホストが二十歳前後の女性に売掛金と言って数百万円の借金を背負わせる事例が問題になっています。1本10万円以上のシャンパンを何十本と使い、「シャンパンタワー」なるものに並々と注いで一晩で数百万円使わせるなどどういう感覚かと疑いますが、おかしな商売に引っかからないよう自制もしてもらいたいです。年の瀬に多少はしゃぐ気持ちはあっても良いと思いますが、「足るを知る」気持ちを持ちつつ1年の残りを過ごせれば良いかと思います。

健康とは!(日々を過ごすこと)

年末になると、「今年鬼籍に入られた有名人」という記事や特集が組まれます。子供の頃は名前も知らない方が多かったのですが、私も人生を3分の2も過ぎてきたので、名前を聞いたことのある方が多くなってきています。特に今年は音楽に関する方でお亡くなりになった方が多い印象です。イエローマジックオーケストラの高橋幸宏さんと「プロフェッサー」坂本龍一さん、シーナ&ザ・ロケッツの鮎川誠さん、アリスの谷村新司さん、もんたよしのりさん、大橋純子さんやKANさんなど、自分が若かった時代に音楽や歌声を聞いて育ってきた人の訃報を聞くことは大変残念に思います。作り手や歌い手がいなくなっても、音楽はそれを聞けば自分がいたその時代を思い出させてくれます。フォークソングは私の若い時代には全盛期を少し過ぎた頃だと思うのですが、ベストテンなどテレビの歌番組やヤングタウン、ヤングリクエストやオールナイトニッポンなどのラジオで流れていた歌は、今でも口ずさむことがあります。その頃の歌が「シティ・ポップ」と言われるようになり、例えば松原みきさん(2004年に44歳で逝去)の「真夜中のドア〜Stay With Me」という曲は近年日本を超えて世界で聞かれているそうです。楽しかった時、辛かった時、悲しかった時に聞いていた音楽は、良くも悪くも記憶に刻まれることがあります。自分が死んだ後に何が残るかと言えば疑問ですが、そういうことができる音楽家の人たちの力は大したものだと思います。
さて、生まれてきた以上いつかは訪れる死について考えないわけにはいきません。私と妻は大学の同級生なのですが、先日妻と大学で一番仲の良かった一人が亡くなったという知らせを受けました。卒業後も何度も食事をしたり患者さんのことを相談したり、いい関係が続いていたと思います。同級生なので60歳過ぎで亡くなったとは、今の時代やはり早いと感じます。新型コロナウイルスのせいで会うのが途切れていて、わかっていればもっと何かができたのにと思っても、後悔先に立たずというところです。通夜の帰りの車の中で妻といろいろ思い出話をしながら、それでもこうやって二人で話ができるのも、今夜帰りが遅くなってご飯をどうするか考えるのも、明日青空が見えるのも仕事ができるのも、命があってのことなのかと改めて当たり前のことに気付かされました。その日を過ごせるというのは本当に素晴らしいことなのです。新しい年を迎えるにあたって、健康に気をつけてお過ごしください。