眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e87

投稿日 2015年8月4日

眼科の救急外来(その2)

院長 廣辻徳彦

前回は、眼科の救急疾患を、①「赤い」②「痛い」③「見えにくい(変に見える)」④「何らかの外傷」と分類してみました。「赤い」病気では、結膜炎、結膜下出血、(上)強膜炎やまぶたの麦粒種、霰粒種などの病気、「痛い」病気では、コンタクトレンズによる角膜のキズを紹介しました。今回は「痛い」病気の続きからです。
コンタクトレンズによる角膜潰瘍以外にも、救急で見かける角膜潰瘍の中に「カタル性角膜潰瘍」というものがあります。角膜の周辺部に白濁した病巣ができ、ゴロゴロする痛みと充血が生じます。まぶたの縁に「ブドウ球菌性眼瞼縁炎」という慢性炎症が起こっている患者さんの、菌の毒素に対するアレルギー反応が原因と言われています(これには緊急性はありません)。ヘルペスウィルスによる潰瘍も、救急で時に見かけることがあります。
「痛い」病気のうち、眼がうずく、しかも吐き気や頭痛を伴う強い痛みが生じるものに、「急性緑内障発作」があります。眼圧が急激に上昇するため、痛いだけでなく充血も強く、視力も低下します。激痛のあと一瞬で見えなくなるわけではなく、症状が徐々に強くなっていきますが、頭痛や吐き気もあるため内科の救急に行って処置が遅れてしまうこともあるので注意が必要です。比較的まれな緑内障ですが、症状の強さゆえに、緑内障が「急に見えなくなる」とか「とても痛くなる」という印象を持たれる原因になっています。レーザーや手術で虹彩に眼圧を下げる穴を開ける治療が一般的でしたが、最近では(可能であれば)白内障の手術をすることが多くなっています。
③「見えにくい(変に見える)」
眼はものを見るための器官ですので、見えにくくなるというのは一番困る症状といってもよいかもしれません。見えなくなる病気は数多いのですが、ここでは急に症状が出現(=救急に受診)する病気を挙げてみます。急に見えにくくなる原因に、眼内での「出血」があります。網膜では「網膜静脈閉塞症」や「網膜細動脈瘤破裂」による出血、硝子体出血では、「糖尿病網膜症」、「後部硝子体剥離や網膜裂孔、網膜剥離」に伴う出欠の頻度が多いように思います。他にも、打撲によって前房内や硝子体、網膜に生じる出血や、「黄斑変性症」で黄斑部に出血が生じることもあります。出血以外では、「網膜剥離」では視野がだんだん欠けてくる、「黄斑円孔」では急に中心部が見えにくくなるという症状で受診されます。「飛蚊症」という症状を訴えて受診されることも多い印象です。
「見えにくい」病気の中で、視野の一部またはほとんどの部分で「光もわからなくなる」という病気があります。血管が詰まってしまう病気で、脳でいえば脳梗塞に当たるものです。「網膜動脈閉塞症」や「虚血性視神経症」がこれに当たります。急に血流が途切れてしまうので、発症後2-3時間以内に運よく血流の再開ができればよいのですが、回復できない視力低下(視野欠損)という症状が残ることも多い病気です。
④何らかの外傷
救急という意味では、「外傷」がもっともわかりやすいかもしれません。特に休日にはスポーツや山歩きなどをする機会も多いので、日常よりも受傷の機会が増えてしまいます。野球やテニスボールなどが当たることもあれば、指や腕や膝が当たることもあります。スポーツ以外でも、山歩きや庭いじり中に木の枝で目を突くことがありますし、仕事中でも、こけてぶつけても、交通事故でも、生活すべての場において外傷は起こりうるのです。少しの充血のみで済むこともあれば、角膜や結膜に傷が入る、まぶたが切れる、眼内に出血が起こる、網膜剥離になる、眼球に何かが突き刺さる、水晶体が脱臼する、視神経にダメージが生じる、など様々な外傷があり、最悪「眼球破裂」ということもあります。受傷の際は、「赤い」、「痛い」、「見えにくい」なども当然伴います。状態が悪い場合は大きな病院でないとなかなか対処できません。外傷に関しては一言では書ききれませんが、もし受傷されたら落ち着いて受傷の状況や見え方などを把握して受診してください。

急な病気やけがをしたくはありませんが、重症なこともあります。心配な時は時間外外来を受診して下さい。