眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e168

投稿日 2022年5月2日

コンタクトレンズ(管理をしっかり)

院長 廣辻徳彦

前回コンタクトレンズ(以下CL)の基礎的なことについて書きました。4月からは学校健診の機会が多く、CLを装用していて管理をしっかりしている生徒さんが多い反面、定期検査をしていないと言う人が少なくないことに毎年驚いています。そこで、CLの管理について再度書いておきます。ちなみにですが、CLは医療機器の中で「高度管理医療機器」に分類されています。以下に一覧を示しますが、医療機器の中で人体に与えるリスクの大きさで、CLは高度のものに当たるということです。CL販売の際にも、高度管理医療機器等販売業許可<コンタクトレンズ>を取得している必要があります(眼科ではこれと別に「交付」として販売することも可能です)。

クラス1:
一般医療機器
経腸栄養注入セット、ネブライザ、X線フィルム、血液ガス分析装置など
クラス2:
管理医療機器
X線撮影装置、心電計、超音波診断装置、注射針、採血針、補聴器
家庭用マッサージ器、輸液ポンプ用輸液セット、コンドームなど
クラス3:
高度管理医療機器
粒子線治療装置、人工透析器、硬膜外用カテーテル、コンタクトレンズなど
クラス4:
高度管理医療機器
ペースメーカ、冠動脈ステント、人工血管、中心静脈カテーテルなど

一般的にはCLを使っていて大きなトラブルになることはありません。それは、ほとんどの人がある程度「まとも」な使い方をしているからです。「まとも」とは、定められた時間(12-16時間)を守る、1dayタイプのレンズは1日で、2weekタイプのレンズは封を開けて2週間で処分する、充血や目やにのある時やコンディションが悪いと思う時にはCLを使わない、定期的に眼科を受診する、という当たり前の使い方です。日本人が、という言い方は好ましくないのですが、日本人は一般的には決まりを守る性質があるので、少しくらい適当な使い方をしていると言っても、それほどひどくはないので合併症を起こしにくいのかと思われます。それでも、充血などの症状があっても合うメガネを持っていなかったりメガネが嫌だったりしてCLを使い続けていた、1dayタイプを数日に渡って、2週間タイプを1ヶ月以上使っていた、消毒の際こすり洗いをしていなかった、保存ケースの洗浄をしていなかった、などがきっかけで病気になる場合があることをわかっていただきたいですし、恐れていただきたいと思います。もちろん、しっかり検診をしている、管理も十分しているはずなのに病気になってしまう場合もあり、病気になるのは全てその人の責任ではないことも間違いないところです。
健診で目に障害があることがわかる状態の生徒さんは流石にいませんが、視力検査の結果、意外に見えていない生徒さんは大勢います。CLで視力矯正をする場合は、過矯正にならないように注意しながらも(1.0)程度は見えるように矯正します。学校の検査で「C」判定、すなわち0.7が見えなかった生徒さんに聞くと、半年、長い場合は記憶にないくらいCLの検査に行っていないという答えを聞きます。今の時代、インターネットでもCLを購入できます。費用の問題はとても大事ですので、眼科医として購入先がどこかを問いただすつもりは全くありません。しかし、そのCLで正しく見えているかどうか、眼に問題が生じていないかどうかは検診をしないとわかりません。これについては言い方に難しいところはあるのですが、検診をしていない生徒さんは、親御さんに問題があるケースが多いのではと考えます。親が喫煙者の家庭は子供も喫煙をする確率が高くなり、飲酒をする家庭では子供が飲酒をする確率が高くなることがわかっています。CLについても同じことが考えられ、親がCLの検診をしていない家庭で子供さんのCLの扱いがルーズになる傾向があるようです。30年以上眼科医をしていて、一人だけですが初めてのCLを合わせに来た子供さんと一緒に来院されたお母さんに、「試しに使ったCLのケースをください」と言われたことがあります。そのケースのデータからインターネットで購入しようと考えたのでしょう。実際2度と受診されることはありませんでした。繰り返しますがインターネット購入に問題があるのではなく、検診が重要ということです。意識が低いと言えばそれまでですが、親である以上は気を遣って欲しいと思ったケースでした。
CLを使っている場合は、必ず使用できる眼鏡を持っておくべきです。何らかの理由でCLが使えなくなった時に必要だからです。「眼鏡を持っていないので眼の状態が悪いのに無理をしてCLを使っていた」ということもしばしば聞きますが、そもそもそういう人はCLを使うべきではないと考えます。高度管理医療機器と言いつつ現実には手軽に購入でき、かつ使用できる道具でありながら、万が一の時には一生後悔することにもなりかねないのがCLです。うるさいように思われるかもしれませんが、しっかり管理して使用していただきたいと考えます。