花粉症について その1
院長 廣辻徳彦
今年もスギ花粉症の季節がやってきます。2月中旬になれば本格的に飛び始めるといわれているスギ花粉ですが、今年は少なかった昨年の5~10倍も量が飛ぶと予想され、平年よりも多いといわれる当たり年です。今回は花粉症とその対策について紹介します。
花粉症というのはスギ花粉に限らずヒノキやイネ科の植物、ブタクサなどいろいろな植物の花粉に対する身体のアレルギー反応のことを言います。眼に関しては充血やかゆみを生じるアレルギー性結膜炎のことですし、くしゃみが出るアレルギー性鼻炎やせきが出るような気管支の反応もまとめて花粉症と呼ばれています。
それでは、花粉症はどうして起こるのでしょう。まず身体の中に花粉などの異物が入ってきます。花粉は乾燥している皮膚よりも、涙や鼻水でうるおっている眼や鼻にくっつきやすいのですが、身体は花粉など異物に対して、それを排除するための免疫反応をします。花粉に対して「抗体」を作り出し、花粉などの異物から身体を守るための反応が起こるわけです。
しかし、この反応で生じる「抗体」が次第に蓄積され、一定の水準を越えると花粉に過剰に反応する花粉症が発症してしまいます。アレルギー反応とは過剰な免疫反応と考えてもよいでしょう。過剰に刺激された細胞(肥満細胞といいます)からヒスタミンやロイコトリエンという化学物質が産生され、ひどく充血してかゆくなる、まぶたがむくむ、鼻水やくしゃみが止まらないといった困った症状を起こされます。
花粉症にはどういった対策をとればいいのでしょう。まずは花粉をブロックすることです。眼鏡をかけるだけで、眼に入る花粉を3分の1にできるといわれています。最近はゴーグルのように隙間をなくした眼鏡も販売されています。コンタクトレンズは花粉症の症状を悪化させるので、この期間は装用しない方がベターです。鼻炎にはマスクが有効ですが、最近では鼻の周囲に塗って侵入を防ぐ薬もあります。家の中に持ち込まないために、衣類も花粉の付きにくい生地を選ぶとか、空気清浄機も有効かもしれません(家電店のまわし者ではありませんが)。カップをかぶせて使う市販の洗眼薬(○○ボンなど)は、まぶたの汚れが目に入るのでよくありません。人工涙液を数滴たらして洗眼する方が効果的です。遺伝や大気汚染なども原因の一つと考えられていますが、直接的には花粉をいかに防ぐかが重要です。
薬の使い方にもコツがあります。薬には「抗体」を作り出す細胞の働きを抑える抗アレルギー薬とステロイド薬が使われます。抗アレルギー薬は、花粉の反応が起こる前から使う方がより効果を発揮します。花粉が飛びだす1週間ぐらい前から使用するのがよいとされています。花粉が飛んでいる時期は、かゆくない時にも使い続けることが大事です。ステロイド薬は比較的早く効果を出すので、花粉の時期からの使用でよいでしょう。しかし、抗アレルギー薬の中には眠気を引き起こすものもあり、ステロイド薬にも副作用はありますので、自己管理でなく必ず医師に相談しながら使ってください。他にも半年から1,2年をかけてスギなどの抗原に徐々に慣らしていく減感作療法や、鼻炎に対して粘膜をレーザーで焼くという治療もあります。
私自身かなり以前から花粉症(スギ、ヒノキ、ブタクサなど)に困っています。現在はよい薬もありますので、お困りの方はご相談ください。