目が赤くなる病気
院長 廣辻徳彦
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
新年最初の話題はウサギ年にちなんで「目の赤くなる病気について」です。今までにもこのような病気の紹介をしてきましたが、今回はいろいろな眼の赤くなる病気について書いてみます。下図
にも示していますが、赤くなるのは白目といわれる結膜や強膜という部分です。眼球自体の白い部分が強膜で、その表面を覆っているのが半透明の結膜という薄い膜です。
結膜はいろいろな病気で赤く充血します。よく知られているのは結膜炎です。細菌やウィルスの感染で生じるものは、充血のほか異物感や目ヤニなどの症状も伴います。結膜炎はスギ花粉などのアレルギーによっても起こりますが、この場合は痒みやむくみを強く感じます。以前に紹介した翼状片(図1)という病気も原因になります。眼球に砂粒などの異物が入った時場合も目が赤くなりますし、角膜炎や角膜潰瘍といって角膜に細菌感染が生じた場合など角膜の病気でも充血します(図2)。コンタクトレンズを入れすぎて目が赤くなることは経験された方もいらっしゃるでしょうし、ドライアイといって涙が少ないために目のうるおいがなくなる場合にも充血が生じます。このように結膜はいろいろな病気などが原因となって充血します。
充血以外でよくみなさんが受診されるのが結膜下出血(図3)です。原因ははっきりしないことが多いのですが、目をこすってしまうとか何かにぶつかった場合、いきんだ場合に起こるといわれています。充血と違い、出血では白目が真っ赤になってしまうので、ただの充血よりも心配される方が多いようです。しかしながら、皮下出血と同じで時間がたてば特に治療をしなくても元の白目に戻ります。
結膜充血と見分けがなかなかつきにくいものに、強膜の充血があります。結膜炎の感染や花粉症などのアレルギーではなく、体の中の免疫の異常や虹彩炎、ぶどう膜炎という眼球内での炎症に伴って起こります。強膜炎(図4)という強膜そのものの炎症もあります。結膜炎でもゴロゴロする感じがありますが、強膜炎などではもう少し強くいやな感じの痛みが起こるといわれています。
他にも、パソコンを長く使っていたり本を読みすぎたりすると、眼精疲労が生じて充血が起こります。入浴後や飲酒後、また起床時などは病気ではなくても目が赤くなる傾向にあります。
ところでウサギの目は本当に赤いのでしょうか。実は毛の色が白いウサギの目が赤いだけで、野ウサギやクロウサギの目は赤くありません。白ウサギの体はメラニンという色素が薄く、眼球にもその色素の量が少ないのです。そのため虹彩や眼球そのものの血管の色が直接見えてしまい、目が赤く見えるというわけです。ウサギさん、病気でなくてよかったですね。