眼科で行う検査について
院長 廣辻徳彦
病院や診療所に行かれた時に、「検査をしましょう」と言われることがあるはずです。眼科でも視力、眼圧、眼底検査や、視野、斜視、造影検査など検査を挙げればきりがありません。診察の基本は患者さんの話を聞き、(問診:最近は医療面談と言います)、よく見せていただくこと(視診)なのですが、肉眼で見ているだけではなかなか診断をつけることが難しいのが現実です。今回は代表的な眼科検査とその内容をご紹介します。
視力検査
言わずと知れた眼科検査の基本です。眼の屈折度を測定し網膜の中心部で物を見分ける力を測ります。屈折度からは近視、遠視、乱視などの有無がわかります。メガネも何も掛けないで測る裸眼視力、いろいろなレンズで補正して測る矯正視力の値から、さまざまな病気や疲労の原因を考えたり、経過観察に利用したりします。自分では視力に変化がないと思っていても、実際に測ると意外に変化していることもありますので、定期的に測定してみるのがよいと思われます。
眼圧検査
先月までお伝えした緑内障の診療にとても大事な検査です。経過観察だけでなく、健診で病気を発見するきっかけにもなります。血圧のように自宅では測定できないので、自分で管理できない側面もあります。急激な変化の場合には自覚症状が出ますが、なかなか自分では変化をつかめません。
眼底検査
眼底出血、網膜剥離など網膜に生じる病気を調べるものです。全身の動脈硬化の具合を網膜の血管から類推できるので健診でも検査項目に入っています。糖尿病の合併症でもある糖尿病網膜症もこの検査でわかります。ただ、眼底を詳しく検査するには点眼薬で瞳を大きくする散瞳検査が不可欠です。約4時間程度ピントがぼけてしまうので、検査のあと車の運転などは避けるようにしてください(車での来院は避けていただくほうがよいと思います)。
蛍光色素を静脈注射しながら眼底の撮影をする蛍光眼底検査では、糖尿病網膜症、ぶどう膜炎、新生血管黄斑症(加齢性黄斑変性症)などの詳しい検査が可能です。最近はOCT(光干渉断層計)という網膜の断層像を検査するような器械もできています(高級外車を買ってもおつりがくる値段ですが・・)。
視野検査
これも緑内障で紹介しましたが、これだけでなく様々な病気の検査に使われます。病気によって視野異常の状態に特徴的なパターンが出ることがあるので、網膜色素変性症や網膜の動静脈閉塞症、視神経炎や脳腫瘍、脳梗塞などの診断や経過観察にも役立ちます。中心部の視力がたとえ1.0であっても、視野に異常があると横から出てくる人とぶつかるなど生活に支障が出ることも少なくありません。車の運転などにも注意が必要です。
他にも超音波検査、斜視検査、網膜電位図や色覚検査など多くの検査がありますが、代表的な検査をご紹介しました。それぞれの検査には意味がありますが、何を検査しているのか患者さんご自身でご理解いただくことも大切です。できるだけ検査の結果も説明するよう心がけてはいますが、わかりにくいことなどはできるだけご質問ください。