眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療社団法人 広辻眼科

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眼の病気 No.e104

投稿日 2017年1月5日

酉年の初めに

院長 廣辻徳彦

あけましておめでとうございます。2017年は酉年です。ウィキペディアによると「酉」はもともと「糸へんに酋という字(しゅう:ちぢむの意味)」という字が由来で、果実が成熟の極限に達した状態だそうです。後に覚えやすくするために動物の鶏という字が当てられたとあります。さて、鳥に関係する目の病気といえば、誰もが「鳥目:とりめ」を思い浮かべるでしょう。「鳥目」というだけあってすべてのトリが夜見えにくいと思われがちですが、ニワトリの視力がもともと悪く夜間はさらに見えないことから名付けられただけで、多くの鳥の目は夜もある程度見えているそうです。フクロウは夜目が効きますし、渡り鳥が星の光を頼りに海を越えて行けるのは夜でも見えているからです。もちろん、ヒトでもトリでも昼に行動する動物は、夜の方が見えにくいのは当然です。
「鳥目」は正しくは「夜盲症」と言います。私たちの視力は暗いところに入ると効きにくくなるのですが、それでも時間が経つと少しずつはそれなりに見えてくるものです。この反応は「暗順応」と呼ばれています。映画館や劇場に入った時のことを思い出していただければ、わかりやすいと思います。「夜盲症」にもほとんど暗がりでは見えないものから、時間が経つと少しは見えてくるようなものまで程度はいろいろあります。昼間は視力が良く日常生活ができても、夜間にかなり生活が不自由になってしまう場合もあるので注意が必要です。
 「夜盲症」の種類は、大きく下記のように分類されます。

  1. 先天性夜盲症
    進行性先天性夜盲症:網膜色素変性症など
    非進行性先天性夜盲症:小口病、眼底白点症
  2. 後天性夜盲症
    ビタミンA欠乏性夜盲、眼底疾患

進行性先天性夜盲症には網膜色素変性症や白点状網膜症という病気などがあり、若年から青年期に始まって夜盲や視野障害などの症状が進行し、最終的には視力まで低下してしまうことが多い病気です。遺伝傾向が多いことも知られています。一方、非進行性のものは若年期から夜盲を自覚しますが、明所での視野異常や視力障害の進行は見られないものです。これにも遺伝が関係します。いずれもこれといった確実な治療はなく、特に進行性のものでは、すぐには難しいでしょうが、今後は遺伝子治療などに期待されるところが大きいと思います。
後天性夜盲症では、ビタミンA欠乏症という名前はご存知の方も多いとおもいます。網膜で光を感じる細胞は「視細胞」といい、それには「錐体(すいたい)細胞」と「桿体(かんたい)細胞」の二種類がありますが、暗がりで働く「桿体細胞」の中にロドプシンという色素が存在し、このロドプシンはビタミンAで構成されているので、ビタミンAが不足すると暗がりで桿体細胞が働きにくくなり夜盲の症状が出てきます。ビタミンAは体内で合成されないので、食べ物から摂取する必要があります。昔の栄養不足がちだった頃は「肝油」を飲んだことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。肝油にはビタミンA以外にビタミンDなども含まれ、鳥目やくる病(乳幼児の骨の石灰化以異常)の予防に使われていました。後天性の夜盲症には、網膜や脈絡膜の病気(網脈絡膜炎)などで、視細胞が広範囲に障害されるものがあります。糖尿病網膜症や網膜剥離の治療で網膜全体にレーザー光凝固を行った場合も、多くの桿体細胞がレーザーでダメージを受けるので夜間の運転などが難しくなることがあります。

現在の日本では、栄養不足よりは肥満の方が問題になっていますが、鳥目の予防に限らず、バランスよく栄養を摂るように心がけたいものです。今年も一年良い年でありますように。