眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

(受付)午前8:30〜 午後2:00〜 (休診)土・日・祝祭日・年末年始 ご予約・お問い合わせ0797-72-6586

広辻眼科マンスリー 第m9

投稿日 2006年11月1日

子ども達の未来に期待する

理事長 廣辻逸郎

最近目を閉じ耳を覆いたくなるようなこどもに対する陰惨な事件が頻発しております。
つぶらな瞳、あどけない表情の幼児がすくすくと成長してくれる事をどんなにか待ち望んでいるのに。生母が自分の子供を虐待し、死に至らしめるなんて本当に恐ろしいことです。いじめにあって、自殺に追い込まれたこどもの報道も痛ましく、どうしてこんな世の中になってしまったのかと悲しみます。
私が小児科学を教わった頃は、乳児消化不良症から始まって、急性伝染病に続いておりました。
それ程、消化不良や伝染病で乳幼児の死亡率が高かったのです。日本人一般に栄養不良が根底にあったのです。赤痢・腸チフス・ヂフテリア等の法定伝染病も見られないし、乳児の粟粒結核など、若い医師は名前も知らない時代です。現在の日本はこれだけ食料が豊になり、物質的にはなんの不自由もないのにどうしてこの頃日本人が心貧しく、勝組・負組に二極化した世相なったのかと溜息をつきます。
西宮北口で、先を争って電車の座席を占め、エレベーターを利用するこども達。運動会でも怪我をし易い競技を避ける学校。折れるような細い手足の娘達。
戦後二百五十万の出産が現在百万を切る時代です。学力・気力・体力は一体です。
どんなに勉強がしたくても、病気で倒れたり、家が貧しくて進学できなかった。また戦争で勉強どころか生きる事で精一杯であった時代と違ったこの恵まれた時代に育つ子ども達がもっと逞しく、元気で、礼儀正しくしっつかり勉強して日本を背負って立って欲しい。

健康とは! こどもとゲーム

学校で視力が1.0無かったと視力検査用紙を持って受診されます。その時、お母さんの質問で一番多いのは「先生ゲームは目に悪いですね。ゲームをしたら近視になりますね。」と質問と言うより、医師の口から子どもにゲームは目に悪いから止めなさいと言ってくださいという信号と受け止めています。
近視の原因
そもそもなぜ近視になるか。原因論は確定しておりませんが、屈折説と眼軸説に分かれます。難しい理論は避けますが、屈折説は、近業を続けることによって、水晶体の調節が持続して近視の状態に固定すると言うもの。眼軸説は眼軸(角膜から眼底までの距離)が延びて、ピンとの合う位置が網膜の前になって近視になるというものです。
どちらも正論で、その複合もありましょう。昔は、体の成長が止まれば近視の進行も停まると言われていましたが、現在のように、パソコンの使用が当たり前になってきますと、老眼の起こる 
45歳頃になっても近視の進行例を見ることも稀ではありません。
市内の小学校でも5年生になると、1.0をきる児童が急に増えて、60%にもなり、中学で70%、 高校生では80%に見られます。
マンガをまじかに見て、ゲームをしても、近視にならないこどももいますが、近業を続ける事は近視になりやすいことは事実です。
TVがで出だした頃テレビで近視になると言われました。テレビを見て近視になるなら家に居るお母さんん達はみんな近視になるでしょうと言いました。ただ成長期に長時間のゲームは前頭葉の働きを阻害して、感情・情緒の発達に悪影響があるという研究があります。

こどもと目の病気

今月はこども特集です。
小児の視力
1950年大山信郎氏の文献によると、(白熱電球の動きで判定している)
生後1ヶ月まで 光覚~眼前手動
生後3ヶ月まで 0.01~0.02
生後6ヶ月まで 0.04~0.08
生後8ヶ月まで 0.1
1955年 渡邊政信氏によると1.0以上の出現率が3歳児25%、4歳児56%、5歳児72%、6歳児84%と成績が出ております。
しかし、最近の3歳児検診ではもっと高率に1.0の出現率があるように思われます。
ただ眼軸が生直後17mm 3歳で23mmで10歳頃24mmに成長しますから、幼児は遠視です。
斜視と弱視
発症の時期、種類、程度によって治療が決まってくるから慎重でなければなりません。頭位が傾いていることも斜視と関係があります。遠視が強度であると,内斜視や弱視が疑われます。
遠視性弱視は早期に眼鏡装用によって視力が回復します。3歳児検診が始まって、強い遠視が早期発見されて弱視の予防に役立っています。
斜視および弱視治療に力を入れている大学病院が少なくて残念ですが、近辺では、兵庫医大三村教授。大阪医大内海助教授が専門にされている。子ども病院は勿論対応されています。
色覚
先天性後天性とあるが、先天性は男子の5%女子の0.3%にみられ、その大多数は緑色の色覚が異常ないわゆる色弱で生活に差しさわりが無く、学校での検査もなくなってきた。ただX染色体の劣性遺伝で治療法はない。パイロット等職業によっては不適であるが仕方がない。自家用車運転は問題ない。悪天候やネオン街では注意しましょう。理系も進学に殆ど大丈夫。
眼瞼下垂
瞳孔が隠れるほど眼瞼が下がっていると弱視になる恐れがあるから手術が必要です。
眼瞼内反
乳児の眼瞼は内反している事が多い。お誕生頃には自然治癒します。幼稚園に行く頃になっても強くて、陽の当るところで眩しがる事が強い時は手術が必要でしょう。
鼻涙管閉塞症
生後1週間ころから、片眼時に両眼に眼脂がでる時はこれを疑います。たまに自然治癒しますが、ブジ-―といって細い針金を通してやると一度で治癒します。
急性結膜炎
鼻かぜと一諸に細菌性急性結膜炎がまま診られます。これは抗生剤の点眼薬で容易に治癒しますが、ビールスに起因する咽頭結膜熱・流行性角結膜炎は伝染性も強く、家族感染の危険もあります。注意が肝要です。
先天性白内障
胎生時母親が風疹に罹患して心臓や眼に異常のでる事があります。
網膜芽細胞腫
小児の悪性腫瘍として重要で、腫瘍が眼底で白く光って母親が気付く事がありますキャッアイ(猫の目)とも言います。視神経を通じて脳内に移行するので、残念ながら眼球摘出を余儀なくされますが最近保存的療法も試みられています。
牛眼
先天性緑内障で、遺伝因子が関与しています。初期にはぱっちりと黒目が大きいので可愛く見られ異常に気がつかないことが多いから注意が大切です。
スポーツ外傷
サッカーや野球ボールによる眼外傷も色々障害を起こします。特にチップしたボールが当ったときは眼球に出血などの症状が起こります。必ず受診しましょう。