梅雨が明けてしまいました
院長 廣辻徳彦
今年は7月になる前に梅雨が明けてしまいました。西日本では史上最速、期間も2番目に短い梅雨だったようです。このまま暑くなっていけば(すでに毎日暑いですが)、水不足や農作物の発育への影響も心配されます。備蓄米の放出によって少しは安くなった米の小売価格も、秋に安定した収穫がないとまた高騰するかもしれません。中東情勢は相変わらず不安定ですし、以前ほどではないにしろ円安傾向も続いています。食品などさまざまなものの値段も高値で安定、もしくはさらに上がり続けています。膝を怪我して以来、車での通勤をしているのでガソリン価格が高いことにも悩まされています。ただ、同じ市内でも少し離れたガソリンスタンドに行くだけで5円程度の差があることもあります。次回は安いところで入れようと覚えておこうとするのですが、いつも忘れて同じところで入れています。最近はガソリンスタンド自体が減ってきているので、少し離れたスタンドまでわざわざ出かける時間とそのために要するガソリン分を考えると、実際に別のスタンドまで出向くのはコストに合わないかもしれません。
怪我をした膝についてはこの夏に手術をしなければならないかもと考えていたのですが、整形外科の先生によると幸いなことに状態があまり悪化していないらしく、しばらくは手術なしで経過観察ということになりました。術後は約6週間松葉杖が必要らしいので、仕事に影響が出ることは必至です。手術がいつになるかはまだわかりませんが、緊急性はないので手術をするとすれば来年以降の5月の連休かお盆の休みを利用してということになりそうです。日頃「手術を」とか「治療が」とかを勧める立場ではありますが、自分が治療される立場になると仕事のこととかついわがままを言ってしまいたくなります。
さて、この7月は3年に一度の参議院議員選挙です。発足時からパッとしない石破内閣は相変わらず何の輝きもないまま支持率も低迷し、自民党にとっては厳しい選挙になりそうです。かといって野党も「消費税引き下げ」と聞こえのいいことばかり口を揃えて唱えているような印象です。参議院議員は比例区で背後に業界団体(医師会系も)や労働組合が応援している候補が多数立候補します。自民党に限らず立憲や国民にもこういった候補者は存在し、母体となる団体に有利な働きかけをするようです。選挙の際にいつも書くのですが、せっかくの1票ですので無駄に棄権せず投票に行きたいと思っています。
健康とは!(肥満解消薬:本来は自分でコントロール)
病気には、細菌やウイルスなどの「病原体」や「有害物質」などが原因となって起こることもあれば、体質などの「遺伝的な要素」が発症や進行に影響を与えることもあります。他に、食事、運動、飲酒や喫煙などの「生活習慣」が関係するものもあり、「健康的と言えない生活習慣」に関わる病気を生活習慣病と言います。生活習慣病には糖尿病、高血圧、がん、脳卒中、心臓病など多くの疾病が含まれ、生活習慣が発症や進行に関わっています。私自身が肥満気味(というか肥満)なので、人のことをとやかく言ってはいけないのですが、2年前に発売された糖尿病の治療薬で肥満にも効果があるという薬があるので、それについて少し書いてみます。
その薬は「マンジャロ」という名前の注射薬で、むつかしく紹介すると、「グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)という二つの受容体に作用する薬(持続性GIP/GLP-1受容体作動薬)」です。注射薬ですがインシュリンとは異なります。細かな理屈はともかく、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促して血糖値を下げて血糖値を安定させる効果、満腹中枢に作用し食欲を抑える効果、食欲が抑制されて食事量が減ることで体重減少につながる可能性が期待されています。GIPは脂肪細胞や肝臓での脂質代謝を活性化させ、体内に蓄積された脂肪をエネルギーとして優先的に使わせるようにするので、体脂肪の減少効果もあるとされています。このように体重減少が期待される薬なので、肥満症に対しても効果があると言われています。2型糖尿病の患者さんに対する臨床試験では、HbA1cの値がほとんどの患者さんで好転したという有効な結果を示しました。もちろん薬ですので副作用もあります。消化器系では吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、食欲不振など、血糖値に作用するので糖尿病治療薬との併用で低血糖(めまい、冷や汗、動悸などの症状)の可能性が高まることもあります。その他にも味覚異常、膵炎、胆石、甲状腺腫瘍のリスクなどが報告されています。
この薬を調べようとして検索をかけると、肥満解消を目的としたダイエットクリニックの広告(?)が上位にヒットします。それについて批評はしませんが、体重が増加するのは多くの場合自分の食習慣に問題があります。自戒をこめて、「薬に頼らず食事のコントロールを大切にするべき」と思います。