梅ちゃん先生
理事長 廣辻逸郎
NHK朝ドラの梅ちゃん先生が好調に前半を終わって、これからの展開が楽しみだ。実は私も入学が昭和19年で梅子先生の一年先輩になる。東京と地方の地域差はあっても時代背景が同じなので、色々と興味深く視ている。日本中爆弾や焼夷弾で破壊され、住むところも着るものも、食べるものも無く飢じい毎日であった。衛生環境も最悪で、薬品も無くその上終戦前後は地震や台風干天という天災も加わって、栄養不良や伝染病による死亡者も増大していた。ドラマは昭和30年代に入って日本人の生活も随分と向上し、テレビ・洗濯機・冷蔵庫とどの家にも備えられるようになった。しかしその頃はまだ結核患者が多く、眼科ではトラコーマが学会での大きなテーマだった。世良公則さんが演じている坂田医院のような医院はもう現在では見られないだろうが当時では有り得たし、映画『酔いどれ天使』を思い出す。町の救世主外科医がミスで患者の梅毒が感染するという話題作だった。
主演の堀北真希の演技はまだ未熟だが好きな女優だ。父親は頑固だが家族を見守って一家の柱だし、母親は表では控えていても買出しや日々の食事気配り万点で家族を支えている。倍賞さんや片岡さん達脇役もドラマをうまく作っている。そして7年前にヒットした『Always3丁目の夕日』も昭和30年頃の東京下町の物語で、共通して人情味が厚く、しかもみなつつましい生活を享受している。衣食が足らなくても助け合った。使い捨て飽食の現在果たしてどうだろう。
今の医学生は私達の時代に較べて200倍以上も勉強していると言う。眼科診療所の設備も50年前は洗眼設備・視力表・暗室灯とルーペであったがいまや洗眼設備は無く、精密機器が並んで、日帰り手術で視力を回復出来る疾患が多くなった。
6月23日沖縄で亡くなった23万の方の慰霊祭が行われた。8月には広島・長崎の原爆慰霊祭が、そして原発問題が論議されている。戦争を戦争の悲劇を知らずに住める日本を!
健康とは! 健康志向について
上述の梅ちゃん先生を綴っていると、戦中身体はお国の為のものだったし、戦後暫くは生きていくのが精一杯であった。でも現在はどうでしょう。世界一の長寿国になってまだ何が足らないのでしょう。新聞にテレビに足腰痛まず、しっかり歩くためにあれを飲めこれを服用せよ。メタボの脂肪燃焼にはこれだとコマーシャルする。最近は大手の薬品会社や食品・飲料会社まで信用バックに宣伝している。TV・新聞社は広告主は大事なお客さん、効果の有無は関係ありません。広告主を怒らせる記事を報道することはなく、あっても最小限です。スーパーで1円でも安い物をと選ぶ方が、広告を信じて月額1万円前後各種のサプリを購入される。お一人3箱までを。生鮮食品も産地を確かめ、賞味期限を確認する。3.11以後はこれに放射線量までチェックされる。7月から生レバーも販売停止になる。国を上げて健康を守ってくれる。
米寿目前のある女性に「何故健康を願う」と聞くと、「死にたくないもん。着たい物も、食べたい物も無いけど一杯本が読みたい」と言います。私も歳を忘れてまだ知りたいこと観たいところと欲張りです。日本人がこれだけ長寿になったのは、環境・栄養・医療の進歩等々決して単一では有りませんが死ぬまでただ寝たきり介護のお世話にならずにと願っています。どなたもそんなに大きな違いはないでしょう。サプリメントを買ってそのお陰で元気でおれると信じるもよし、検診も受けず、平凡に生きて一生を終えたいと願っている人もいます。生産性が無くて長生きし、そのため負担を掛ける分をどう少なく済ますか老人は考えましょう。一方敬老と言う言葉も実感も残って欲しいです。