眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m229

投稿日 2025年3月6日

寒波の後の3月

院長 廣辻徳彦

2月はかなり強い寒波が2回にわたって押し寄せ、西日本の日本海側から北陸から東北にかけて大雪をもたらしました。昨年はかつてないほどといわれた暑さが11月まで続いたので、冬もあまり寒くならないのではとも思っていたのですが、東北などでは観測史上最大級の積雪という事態になってしまいました。降雪量の多い地域は概ね人口も減少傾向であることが多いので屋根の雪下ろしも難しく、生活そのものにも影響がある様子です。4mや5mの積雪など想像もできませんが、札幌などでのニュースの映像で豪雪ではなくても雪が積もっている道路をそれなりのスピードで車が行き交っているのを見ると、雪国の人の慣れとはすごいものだと感心します。もし宝塚で5cmも雪が積もれば歩道では転倒者が続出し、このクリニックの前の道路では車が立ち往生してしまうことでしょう。数年前に道路が凍結した後から、坂の途中に融雪剤が一袋置かれるようになりました。その後に融雪剤が使われるほどの状況にはなっていませんが、何かがあってからではなく備えておくことが大事かと思います。クリニックにもコープさんで購入した食塩をわずかばかり備えています。食塩(塩化ナトリウム)は塩化マグネシウムや塩化カルシウムなどと同じく融雪剤や凍結防止剤として役立ちます。今年はもう大丈夫ですが、来年以降もしもの時にはご家庭の食塩を使ってみてください。
最近は寒波の後で暖かくなって来ています。今年は例年に比べて非常に多いと予想されているスギ花粉も、寒波のためにやや遅れて飛びだした様子です。梅の開花も少し遅いように感じますし、昨年が秋まで暖かかったせいで桜の開花も昨年よりは少し遅くなるという予想です。1年の切り替わりはお正月ですが、桜の時期は卒業や入学、入社や異動という年度替わりの節目に当たる時期です。「年度末」ということで通常より事務仕事が忙しくなっている方もいらっしゃると思いますが、1年のまとめということで無理せず過ごしていただきたいと思います。そういえば、4月の入学に合わせてランドセルを購入する時期は、昔なら年末や年明けだったと思うのですが、最近はとても早くなっています。数年前まで7-8月頃がピークだったものが最近では5月がピークで4-7月に最も売れるらしく、人気モデルは8月には完売しているということです。

健康とは!(牡蠣とノロウイルス)

「R」のつく月(9月から4月)は牡蠣が美味しい時期とされています。最近では養殖技術の発達や夏には岩牡蠣もあることから探せば1年中手に入れることができますが、スーパーでは「生食用」と「加熱用」に分けて販売されています。私も以前は「より新鮮なものが生食用なのだ」と思っていたのですが、新鮮さではなく獲れる海域の違いで区別されています。生食で問題となるのはノロウイルスや食中毒菌による食中毒です。そのため、雑排水などの流れ込む河口から離れた汚染のリスクが低いエリアなどを「指定海域」に定め、そこで獲れたものが生食用とされます。牡蠣は1日に約300lの海水を吸入・排出するので、紫外線やオゾンで殺菌した海水に2〜3日つけて浄化もされています。出荷に際しては、定期的に細菌数を調べたり大腸菌や腸炎ビブリオ菌を測定したりしているそうです。加熱用牡蠣は指定海域以外獲れたもので、河口に近く栄養が豊富な環境で育つため、ウイルスや細菌を取り込んでいるリスクもある代わりに含まれる栄養分もより多い傾向(=美味しい?)にあるということです。
冬場にはノロウイルスによる食中毒のニュースが聞かれます。ノロウイルスは非常に強い感染力を持ち、数個のウイルスが体内に入っても感染すると言われています。感染しても発症しない人や、軽い風邪のような症状ですむ人もいますが、感染から24-48時間で発症し、吐き気、おう吐、下痢、腹痛、37-38℃の発熱などの症状がでます。通常は1日から2日症状が続いたあと治癒しますが、持病のある人や乳幼児、高齢者などは、脱水症状を起こしたり、症状が重くなったりすることもあるので注意が必要です。感染者がノロウイルスの付着した手で調理した食品を食べたり、トイレのドアノブに付着しているウイルスを触ったりして感染します。おう吐物の処理時に感染することもあります。ノロウイルスは乾燥や寒さに強いため、1年を通して発生しますが特に冬場に多い傾向です。河口に近いところにはノロウイルスも存在するため、牡蠣の体内に取り込まれたウイルスがあれば、それを生食で摂取すると食中毒が発症するリスクが増えるのです。85℃以上で90秒加熱するとウイルス(大腸菌なども)は死滅するので、生牡蠣が好きな人も加熱用牡蠣は必ずしっかり火を通して食べるようにしてください。