雑草という名の草はない
理事長 廣辻逸郎
昭和天皇のお言葉と聞くが私の好きな言葉です。摘んでも摘んでも生えてくる厄介もの。道端で踏まれても蹴られても根強く伸びてくる。最近はアレルギーの元凶と嫌われている。でもどの草も夫々ちゃんと名前があり中には可憐な花を咲かせています。
植物学的には雑草と野草は区別されていて、雑草は人が管理している土地に生え、管理対象に悪影響を与える望まれない植物であり、害虫の発生や環境美化に逆向する。農業は雑草との戦いであったと極論されています。
稲作では収穫までに何度か稗などの草取りが重労働でした。(現在は見られません)一方野草はドクダミ ゲンノショウコのような薬草。蕗の薹・むかごのような食用や亜麻の繊維源もある。タンポポ・カタバミ・蓮華草・すすきは好かれています。
先年大根が歩道のアスファルトの割れ目に芽を出して成長したとテレビや新聞に取り上げられて根性があるとその種をお守りにしようなんて話がありました。大根なら根性もん。雑草はふんづける。人間て勝手なもんですがユーモアとすべきでしょう。
雑草という言葉に私は庶民的な、将校でない一兵卒の映像が出て来ます。懸命に生活している姿があります。その他大勢の組です。そして皆夫々個性を持って生きているのです。巨人でない阪神フアン的です。
私達の社会も勤勉・正直で真面目な人ばかりだったらどうでしょうか。だらしなくて、怠け者で、遊びが大好き、悪さをする人もいなかったら面白くないかもしれません。いや他人事でなく人間の性として怠惰で、異性に触れ、賭博に手を出したいものです。ただ自制しているだけでしょう。
水田や道路など人間の管理地に生えて嫌われる雑草とて、種の保存にそれなりの習性があるようですし、戦後急激に増えて顰蹙を買ったセイダカアワダチ草は最近減ってきています。エノコロ草は猫じゃらしと言って遊びました。除草剤の怖さも記憶に新しいです。雑草も野草も生えないそんな土地になったらそれこそ恐ろしいです。雑草に肩を持つ文章になりましたが,畑作業なさっておられる方ご勘弁を。
健康とは! 漬けものについて
先般老妻が土付きのラッキョウを買って来ました。今まで漬けたことも無いのに、売っていたから買ったと言います。子どもの頃母親が漬けるのを見ていたのを思い出して急に漬けたくなったようです。今はPCを開くと丁寧に漬け方のレシビが載っています。暫く家中匂いがこもって困りましたがそれなりに漬け上がりました。にんにくのような強壮剤ではありません。
辣韮を剥ぐ手休めず母のこと いつを 辣韮漬け家のそこここ匂ひたる 寺島きよ子
昔はその家伝来の漬けものがありました。西洋人は糠や味噌の匂いを嫌いますが、各家庭は糠床を大切に育てて自慢しておりました。程よく漬かった茄子のあの紫色の光沢!最高の日本食です。丹波には古漬けがあってこれも美味です。
元来漬け物は保存食ですからどうしても塩分が多くなります。高血圧には大敵ですから美味しくても控えめにしましょう。
漬け物売上統計で日本ではキムチが第一なのにはびっくりしましたが韓流ブームもあって確かによく食べられています。
10年以上前初めての韓国旅行で、慶州に行って、お膳にキムチが数種類並んでいるのにびっくりして手が出ませんでしたが観光が終わる頃には逆に買って帰りたくなりました。大阪生野の在日の方の漬けたキムチは流石の味です。
私の好物に金沢のふぐの糠漬けがあります。卵巣もそのままですが、じゅうぶん漬かり上がるとふぐ毒のテトロドトキシンが分解されて無毒になって安心して食べられます。薄く切って食します。酒の肴に最高です。
我が家の梅は毎年梅酒になっていましたが今年は梅干しにしました。(私は何も手助けしておりません)土用干しもしておりました。最近減塩梅干しが多いですが、さてどんなに漬かりましょう。子どもの頃梅干しを失敗すると不幸があると母が言っておりました。それだけ慎重にしたのでしょう。生活を大事にしていたのですね。