新聞を読みましょう
理事長 廣辻逸郎
まだ未明にバイクの停まる音が聞こえた。ああ新聞屋さんだな
雨の日も風の日も、そして雪は降っていなくてもこの寒い真冬でも新聞は配達されてくる。このような宅配制度は日本だけのもので、それが日本の新聞購読数を高めていると聞きます。しかし最近はその購読数が眼に見えて低下しているそうです。各種IT情報の発展でリアルタイムに情報が取れる。ニュースはテレビで十分。番組も新聞より週刊誌で詳しく紹介されているというような理由です。また朝刊だけで夕刊を取らぬ人も半数近いそうです。
新聞が発行されるようになった頃と現在とは情報源としての役割は随分と変わって来ました。しかし新聞の役割は決して少なくなったわけではありません。早朝宅配して一ケ月三九二五円が高いか安いか今問いませんが、活字離れと不況で出版新聞関係が経営困難に陥っていることを憂慮します。
ただ新聞もテレビもスポンサー頼みだけに公正中立で権力者におもねることのないことを願っていますが、必ずしもそうでなかったことが残念です。戦前神国日本・鬼畜米英・日独伊同盟を学校だけで教えられたのではありません。八紘一宇は教えられても満州侵攻は知らされませんでした。戦後沖縄返還に際しての日米密約をスクープした毎日新聞西山記者を時の権力の前に最後まで守れなかった事件は記憶に新しいです。せめて誤った方向に世論を誘導しない報道を期待します。猫がネズミを取っても記事にならない。医者が治療して治しても記事にならないことは分かりますが、取材の一部分だけ取って記者の都合のよい編集をされないことを望みます。
私の不得手な経済面も努めて眼を通します。小さな囲み記事にファッションや時代の流れを読み取れることがあります。
新聞小説・俳句・和歌・川柳・家庭欄どれも眼を離せません。
健康とは! 味の素100年記念に
私達どの家庭の食卓にも乗ったであろう[味の素]が2008年に発売100年を迎えました。そもそも東京大学出身の池田菊苗博士がドイツのオスワルド博士の指導を受けて帰国後明治41年(1908年)だし昆布からグルタミン酸由来のうま味を抽出し、特許を取得して、既にヨードを外国に輸出していた鈴木三郎助氏と共同して[味の素]を1909年5月発売されたそうです。発売当初は比較的高価であったが、製造法も改良されて戦後生活が落ち着くともに各家庭でも広く使用されるようになりました。一時期贈答用には味の素・砂糖・煙草・ウイスキー・バターなど人気商品でした。時代の変遷を感じます。
ただ味の素が脳細胞に悪影響を与えるというある学者の論文が出されて、一時使用を控える時期がありました。このような実験成績は実際に使用される量では全然問題になることはありませんが、記事としては面白いので競って報道されるのです。薬が効く効かない副作用の有無。拙速な実験で発表される事は注意すべきです。食卓用瓶の蓋の穴を大きくして使用量を増やしたという話真偽の程は知りません。
ともあれ味の素に続き、1913年には池田博士の門下小玉博士によって鰹節の味イノシン酸が発見されました。現在麺つゆからドレッシング等々大量に調味料が発売されて家庭でも美味しい食品を堪能できる世の中になりました。家庭用味の素の消費は少なくなりましたが、業務用には有名料亭を含め相当量使用されているようです。食品の分析に各種使用調味料は記載されていますが量までは書かれていません。美味しいと思う食品は控えめにしましょう。