桃源郷を求めて

理事長　廣辻逸郎

中国南西部に桃源郷があって、春は花が咲き乱れ、鳥がさえずり、絶えることなく泉が湧いている。夏は涼しく雪の冬を知らない。中国の古い詩歌に歌われた土地に出会えるかもしれないと世界遺産にも登録されている昆明の近く雲南省麗江・竹林を中心に訪ねました。５年前に重慶を、２年前に上海から蘇州を観光しましたが空気も汚く、車が多いうえにスピードや割り込みなど無茶苦茶な運転に往生しましたが、今度は地方だけに、高層建物もなく空気も澄み、廣い田畑も見られて気の休まる旅でした。
ただ食品衛生や環境面で問題があります。男子だけでなく多くの女性もトイレで手を洗わず洗ってもハンカチを使用せずに髪を触ったり振ったりしてすまします。空港内で目の前で食品（弁当らしきもの）を運んできた女性が、いくら紙袋に包まれているとはいえ直接地面に置いて他の仕事をしました。レストランでは地端で盥の中で食器を洗っているのを見ると特に生物を口にするのははばかれました。ところ構わず痰や唾を吐く人は今回は非常に少なかったです。まだ煙草を吸う人が多いです。若い娘さんや青年の服装もオシャレで、新しいマンションに住んで国民全体豊かになっているのを感じます。日本が戦後回復した時は都会も田舎も同じように生活が改善向上して、国民総中産階層と言われましたが、中国では金持ちは凄く儲けているがまだ最低生活の住民も一杯取残されているようです。国が広いし、住民の数が違いますから仕方ないでしょうが。
昨年秋以降世界大不況と言っても、中国政府は国内需要に力を入れて、金融面で元(げん)の価格は下がっていません。聞けば石油・石炭埋蔵量は国内需要を十分満たし、都市から地方への道路・鉄道の建設は素晴らしい速度で進められています。確実に豊かになっていくのを感じます。
中央政府の一方的言論抑制もインターネットの普及や海外留学した知識人の増加で難しくなってきたようです。南京事件で三十万を虐殺したという映画が最近作られていますが、これに対して一方的に日本を悪者にするのはやめようという書き込みも沢山出るようになったとガイドが話しておりました。ガイドの話で、最近ある有力公務員が飲食店で若い女性に殺された事件で、真実は売春は一切しない店なのに無理に性交渉を持とうとして逆に小刀で殺されたもので、被疑者は正当防衛であるのに新聞はじめ報道は真実を追求しようとしないのを、複数の弁護士が無料で弁護を引き受け支援金も集まっているとインターネットで情報が広がっているそうです。官僚や軍人が特別優遇される国は滅びます。
この度訪ねた雲南地区は気温も空気も汚染されずきれいな泉がこんこんと湧いて街中をきれいな川が流れていました。（硬水で日本人は飲めない）川には川鱒や鯉鮒が泳いでいます。真赤なブーゲンブリヤが道を彩り、美味しい山桃や岺子が実っておりました。まだ人類未踏の玉龍雪山の頂上は太陽に輝いていました。食事も豚・鶏・羊・やく牛等使われ茸も豊富です。ただお米は長粒米で味は落ちます。旅も５日目は無性に日本食が恋しくなりました。帰りの機内食の和食の美味しかったこと！
桃源郷を訪ねての旅。私達の住むこの日本。北海道から沖縄まで気候も夫々、産物も景観も様々ですが、生活も食品も安全で安価。政治が満点とは言えなくても一応言論は自由です。寿命も世界一であることはそれだけ医療も含んで生活環境も食品も良いということでしょう。
桃源郷は足元にあることを発見した旅でした。
今月は“健康とは“は休みます。