“サクラサク”
理事長 廣辻逸郎
四月愈々新年度が始まります。入試の合格発表も今ではインターネットでされるから「サクラサク」「サクラチル」の電報は過去のものになりました。希望の大学に合格出来たら親子ともどもどんなにか嬉しいことでしょう。逆に合格出来なかったときは暗たんとした気持で、死んでしまいたい位になります。長い一生一年遅れてもどうてことはないのですが悲しさ悔しさはどうしようもありません。
学校だけでなく、会社や職場も昇任や転勤時期で大変でしょう。 3月で定年を迎えられた方もおられましょう。1月新年を迎えた時と違って4月の新年度は人生航路の新たなスタートです。皆さん頑張ってください。
先日のWBC野球の日本の優勝は久しぶりの朗報でした。10回延長戦でのイチローのセンター前ヒットに皆跳び上がって喜びました。最後のダルビッシュの投球も凄かったです。野球はチームプレーですから、プロのライバル同士の集まりで一つに纏ることは難しかったでしょう。特にイチローはカリスマ的存在ですし、選手たちの年齢では、平素個人生活に馴染んでいるでしょうから猶のこと難しかったでしょう。それだけに優勝に導いた原監督の株が上がりましたね。
そんな楽しいニユースだけでなく、昨夜はトラック運転手の家庭の苦渋が放映されていました。昨年末からの大不況で運ぶ荷物がなく、歩合制で一週間家にも帰らず働いて一日1万円にもならない日があると。それにパートに出ていた奥さんの会社も倒産して離職を余儀なくされたと。嫌なこと辛いことは重なるものです 。
賭博や遊興に使ったのでなく、子供のためにと必死に働いても生活出来ない人がいる現実はどうにかならないものでしょうか。政治が悪いと言えば簡単だが・・・・。
健康とは! 誰も病人になりたくない!!
「どうしてこの病気になったのですか」と患者さんに聞かれるのが一番困ると、この欄で書いたことがあります。原因の分かっている外傷でさえ、あの時1秒遅かったら災難に遭わなかった、もう少し頭が右に行っていたらボールが当たらなかったのにと悔やみます。
暴飲暴食しても糖尿病にならない人もなかにはあります。酒も煙草も飲まなくて胃癌になる人もあります。昔は体質と言いました。現代は遺伝子と表現します。本質は変わっていません。遺伝子や再生医療の研究は凄く科学的で信頼は置けるのですがまだまだ病気の本体や治療にまで到達していません。
「笑いの医学」と言って、落語を聞いて笑うと血糖値が下がる研究をしている学者がおられる。病気の予防治療に免疫が大事だからと免疫学を説く学者もおられる。どれも間違っていないし大事なことです。
連日サプリメントの全面広告が新聞に出ています。こんなに広告費を使ってもペイ出来るのかと人ごとながら心配していますが,2兆円以上の市場です。今度の悪評高い定額交付金も全国民1万2千円から2万円出して2兆円です。私の家族はサプリメントを飲んでいませんから、飲む人はどれだけお金を使っているのでしょう。これは薬品でなく食品扱いです。薬と違いますから効果の有無、成分量の測定も厚労省は最初からしておりません。それを承知で高いお金を使っておられるのでしょうか。しかも1996年アメリカの外圧で「市場開放苦情問題処理体制」で販売できるよう規制緩和された栄養補助食品・健康補助食品であることを付記します。
誰も病人になりたくありません。健康である僥倖を感謝しましょう。そして病める人が安心して治療の受けられる国であることを願います。