まだ暑い9月ですが・・
院長 廣辻徳彦
夕方を過ぎると虫の音も聞こえ始め9月になるのですが、まだ暑さが続いています。先月書いた「8月の旅行リスク」はお盆の日本列島を混乱に巻き込みました。台風6号で宮古島や沖縄に閉じ込められた人も多くいましたし、台風7号は直撃した15日だけでなく16、17日まで東海道、山陽新幹線のダイヤを狂わせました。私自身も前半に北陸、後半に東京お上り旅行を計画していたところ、前半は予約していたサンダーバードが運休、運行した他の特急列車も4時間以上の遅延という事態になりました(力技で乗り切りました・・)。後半の東京行きは流石に全部キャンセルしましたが、かえってゆっくりしたお盆になった気もします。9月はもともと台風シーズンなので、今後まだ発生するでしょうが影響は少なくあって欲しいです。
自然災害では、最近山火事のニュースをよく耳にします。ハワイのマウイ島での山火事の原因は送電線からの出火ともいわれていて人災的要因もあるらしいのですが、島の近くを通過していたハリケーンの強風に煽られて、時速100キロの速さで火が回ったということでした。ハワイといえばオアフ島のワイキキビーチが有名ですが、マウイ島のラハイナやハワイ島のコナやヒロはハワイらしい街並みの残るいい地区です。火災後、灰燼に帰したラハイナの風景は大変残念に思いますが、なんとか復興してもらいたいです。他にもカナダでは、オーロラを見るための最寄の地であるイエローナイフや、保養地として有名らしいケロウナとウエストケロウナ地区での山火事、ギリシャのパルニサ山での山火事(これは放火らしいです)、ペルーのマチュピチュ付近での山火事など枚挙にいとまがありません。山火事の60%程度が落雷や乾燥による自然発生と言われています。最近の異常気象による熱波や乾燥も影響しているのでしょう。マウイ島をはじめ犠牲になった人々、消防活動で命を落とされた方のご冥福もお祈りしたいと思います。
さて、陰暦では毎月15日が満月でそれを十五夜といいます。陰暦8月15日の満月を「中秋の名月」と呼んでいます。今の暦では9月7日から10月8日の間の満月の日がそれに当たり、今年の中秋の名月は9月29日です。日本時間の9月9日から10月29日まで、フランスで4年に一度のラグビーW杯が開催されます。なかなか厳しい予選グループですが、4年前のような日本代表の活躍に期待して、ビールを片手に観戦しながらお月様を眺めようと思っています(今晩はスーパーブルームーンがきれいに見えています)。
健康とは!(科学的に考えよう:処理水海洋放出)
最近妻がタクシーに乗っていて、運転手さんに「コロナに感染すると5年以内に白内障になるという話があるそうですよ」と聞いたそうです。もちろんそんな事実は全くありません。しかも最初に新型コロナウイルスに感染した人でもまだ5年は経過していないので、聞いた瞬間に「フェイク=ウソ」とわかるお話です。なぜ運転手さんがそのような話を人にしたのかは分かりませんが、情報が飛び交う現在、うっかり信じて自分がフェイクの発信者になってしまわないように注意が必要です。
健康問題に関していえば、福島第一原発で発生した「処理水」を海洋放出することについての健康問題が取り沙汰されています。燃料デブリなどに触れて発生した各種の放射性物質を含んだ「汚染水」を、ALPSという多核種除去設備などを通して、62種の核種+炭素14を測定基準値以下まで取り除いたものが「(APLPS)処理水」です。ただ、トリチウム(3重水素)という放射性同位体だけは水分子に取り込まれているために除去できず、これを含んだ処理水が原発の敷地内に溜まってきているという現状です。トリチウムはβ線を放出する物質なので全く問題がないとは言えませんが、線量は非常に弱く外部被曝をする可能性がほとんどなく、特定の臓器に蓄積することもありません。また、自然界では年間約7万兆ベクレルのトリチウムが発生しています。福島で海洋放出される年間総量は22兆ベクレル以下の予定で、公表されている範囲では例えば韓国からは100兆ベクレル以上、中国からは約450兆ベクレルのトリチウムが毎年放出されています。今回の海洋放出が基準通りに行われることにおいて、科学的に考えれば健康被害が起こる可能性は極めて低いと思われます。ただ、これまでの言動から、政府や東京電力の言い分を信じられないという気持ちを持つ人がいるのは当然です。放射線(放射能)と聞いただけでどんな説明にも感情的になってしまう人がいるのも理解できます。ですが、政府や環境省や復興庁、福島県や各種財団のHPを見れば資料とともに十分な説明が書いてあるのに、「説明が足りない」と騒ぐ野党の政治家や評論家、政治利用している中国などの言動には困惑させられます。
これからも、トリチウム以外の核種が汚染水から基準値以下に取り除かれていること、放出後も付近の海域で自然界に存在する以上にトリチウムが増加していないかなどのモニターの監視が重要です。感情的に騒がず福島県産の食材を受け入れていけば、復興につながるかとも思います。