意外な経済効果
院長 廣辻徳彦
GO TOトラベルやGO TOイートなど、コロナ禍でダメージを受けた観光地やレストランの救済策として政府が様々な旗を振っています。GO TOイートは「鳥貴錬金術」や「無限くら寿司」で話題になったように、抜け道のような税金の使われ方をされてしまいました。GO TOトラベルは概ね好評だったためか、予算に余りが出そうなためか、この年度末か連休まで延期されるという話です。GO TOトラベルでもその制度の間隙を突くような使い方を考える人がいて、その結果運転免許取得の合宿ツアーでは11月から利用できなくなったり、宴会にコンパニオンの接待などをセットしている場合はその費用を明確に分けて宿泊代のみにしか適応できなくなったりと、対策が後手に回っている傾向です。それでもどこの旅行の予約サイトでも、土日などはホテル、旅館の良い部屋の空き部屋が見つからない状況なので、それなりの効果が上がっているのでしょう。ヨーロッパ各国で毎日1万人を超える新規感染者が出て、再度のロックダウンが発令されていることを考えると、旅行が再開しても日本人の慎重さ、手洗いやマスクの習慣などが効果的なのかと実感します。
10月に公開されたアニメ映画「鬼滅の刃」が、NHKニュースで取り上げられるほど大ヒットしています。観客動員数と売上は今月の伸び具合にかかっているのでしょうが、興行収入が200億円を超えると歴代3位、300億円を超えるとあの「千と千尋」に迫るという勢いです。PG-12指定といって人が死んだり首を刎ねたり血が吹き出たりとかなり刺激的な描写があるにも関わらず、子供を連れて行った親や祖父母がはまってしまい、映画を見てからコミックスを全巻大人買いしてさらにリピートするというよくわからないブームになっているようです。アメリカでは映画を見に行くと大声で笑い、一緒に歌い、歓声を上げるという鑑賞の仕方をするらしく、映画館というのは感染の可能性が高い場所の一つだそうですが、日本では映画は基本的に黙って見る習慣なので映画館でのクラスターは発生しにくいと言われていて、実際出ていない様子です。たかがアニメ映画とは言うものの、映画以外にも各種商品とのコラボも多く、経済効果も大きなものになっています。新政権は学術会議のメンバーの人選でつまずいて(選ばれなかった教授の皆さんはインタビューを見る限り活動家みたいな人のようですけれど)、ハンコの廃止やGO TO事業の話題だけにとどまっているところ、意外なところで経済の助っ人になるような現象が起きるものだと感心しています。
今年は久しぶりに寒い冬になりそうだとの予想です。気をつけてお過ごしください。
健康とは!
先日久しぶりに、というよりケガや歯科以外ではほとんど初めてというぐらい記憶にない病院受診を経験しました。ケガでは子供の頃に輸血をしてもらうぐらいの出血をしたり、学生時分にラグビーの試合中に右肩鎖関節(肩甲骨と鎖骨のつながっているところ)を亜脱臼して1ヶ月間右腕が使えなかったりという経験もあるのですが、今回は左の胸部に何とも言えない不快感を自覚し、その時に脈が飛んでいる現象が起きたので、お隣の病院にお邪魔したという次第です。
採血や心電図以外にも心エコーや胸腹部の造影CTをしていただきました。さらに、ホルター心電図という24時間心電図を計測するモニターも行い、58年余りの人生の中で「初めての経験」をたくさんしました。CT検査で、心臓や冠動脈という血管の状態を3Dにして血管内部の石灰化や狭窄の具合まで把握でる画像や、曲線状の冠動脈を直線に再構築してどこの部分に狭いところがあるかなどがチェックできる画像を見せていただくと、ある程度の知識があるとはいうものの、「すごいですねー」という感想しか口に出せない情けない具合でした。もちろんそれ以外にも私にはわからない機能が満載だったはずです。医療機器はその測定精度が毎年というぐらい飛躍的にアップし、それから得られる莫大な情報をこれも進化し続けているコンピューターで処理しています。CTを撮れば立体的にどこの角度からも、またどこの断面でも臓器の姿を捉えることができるので、まるで目の前にその臓器の解剖図があるような状態です。技術はどんどん進化するので、検査で得られる情報量はさらに大きくなりますが、反面その結果を人間では全て処理しきれなくなります。眼科の器械でも、その機能を100%活用できているかと言えばそうではありません。AIによる解析や補助診断が必須のものとなってくるのでしょう。
さて、ご近所のよしみで院長先生に診察していただいた私の身体には、ダメダメではないものの不整脈やら冠動脈の石灰化やらがあるようです。お守りがわりに「舌下錠」をいただいたのですが、本当に健康には気をつけなければいけないと実感しました。また、お支払いの際は持ち合わせがないかと一瞬焦る金額でしたが、あれだけの検査をしたと考えれば日本の医療費は十分安いものだと思いました。