眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m171

投稿日 2020年5月1日

令和も1年経ちました

院長 廣辻徳彦

昨年の5月1日は令和へと年号が変わり、新しい天皇が誕生した即位の日でした。5月1日が国民の祝日となったおかげで4月30日と5月2日が休日となり、4月28日の日曜日から5月6日の月曜日(振替休日)まで休日が続きました。土曜日や有給休暇を含まない休日だけの連休として、過去にない大型の9連休となりました。サービス業や観光業、運輸業など休めない職種も多くあったわけですが、国民揃って新天皇の即位を祝し、観光で大移動し、趣味や休暇を楽しんだ日々を過ごしたはずです。私も令和となった瞬間には、夫婦で旅行していた国の戦車競技場の遺跡で、それぞれ離れたところに住む息子たちとLINEで語り合う平和な時間を過ごしました。今はその国でも、新型感染症のために多くの死者が出ています。1年後に世界がこんな状況になっていると誰が想像したでしょう。
振り返って考えれば、あの時こうしておけばよかったと思うことは多々あります。今回の感染症でも、昨年から中国で新型感染症の噂が出た時に何かをしておけば、春節で入国制限をしていれば、クルーズ船でしっかり感染対策をしていれば、3月の3連休でもっと自粛をしていれば、もっと早く緊急事態宣言を出していれば、など考えることは山ほどあります。しかし、例えば春節で入国制限をすれば経済的に大きなマイナス面が出たはずで、こうしておけば全て解決したという単純なものはありません。何の責任を取らなくていいコメンテーターの多くが、あの時こうしておくべきだったと発言しているのも滑稽です。
ただ、為政者には責任があります。アベノマスクが良策だとは思えませんが、少なくとも今はこの国の船頭の役目を果たしてもらわねばなりません。緊急事態宣言は継続する気配で、学校の新学期をどう始めるかも問題となってきています。自粛に協力している事業者、それに伴い仕事が減っている労働者への補償、補助ももっと手厚く行ってもらいたいです。早く経済活動を再開させたいですが、自粛を緩めて状況が悪化して再自粛というパターンになっては元も子もなく、一からのやり直しになってしまいます。まだまだ長期戦が必要な新型感染症との戦いを、我慢しながら乗り切るしかありません。(わが県の危機管理を大阪の若い知事に委ねると、もう少し良いかもしれません。)

健康とは!

世界中で多くの人の重篤とか死亡という記事を目にする機会が増え、「普通」に「健康に生きる」と思っている生活が変化していることに驚きます。「普通」に生きていると言っても、日本で暮らす「普通」と、砲弾が飛び交う街で暮らしていたり民族や人種の差で争ったりしている中で生活する「普通」を、同じ目盛りでは測れません。「健康に生きる」といっても、その基準はそれぞれで異なるものです。生活している環境下では各自がさまざまな制約を受けますが、自分のことが自分でできて心が穏やかに過ごせるのであれば、それは一つの「健康」の基準になるのかと思います。
ところがこの頃は、仕事や学校生活、旅行や趣味などを行うにも自粛という新しい制約がかかってしまいます。この自粛は感染対策としてどうしても避けられない方法です。ですが、プロから学生などレベルを問わずスポーツ関係は概ねできない状況ですし、身体を動かしたい子供やジムで汗を流していた人たちも活動できにくくなっています。家の周りを散歩したりジョギングしたりは問題ないというものの、ジョギングである程度息が上がっている時には人と距離が近いのは避けるべきとされています。ただ、身体の問題については家庭でできる運動や体操もあリマス。オリンピックや甲子園などの大会に出られないという問題はさておき、工夫次第で体の健康を保つためにできることは多いと思います。
どちらかというと、身体よりも心の問題が深刻でしょう。自粛によって生活基盤に問題が出る人が不安になるのは当然です。当然自粛をしない人もいるわけですが、そういう人に対して攻撃的になってしまう場合もあります(この時期にパチンコに行く人はギャンブル依存症という「病気」なので、容易には治療できません)。自粛できない用事の人に対してでも、気持ちがトゲトゲしくなってしまいがちです。周りに感染者がいなくても、自分が感染しないかと過度に心配して「コロナうつ(鬱)」のようになっている人もいます。心を平穏に=心の健康を保つということは簡単ではありませんが、「移される」ことを心配するよりも、大事な人に「移さない」という気持ちで日々の生活を送りたいものです。