輝いて生きるために
理事長 廣辻逸郎
宝塚市医師会六十周年記念講演会にドイツ生まれで上智大学名誉教授のアルフォンス・デーケン氏が『輝いて生きるためにーユーモアのすすめー』と題して話されました。前もってレジメを聴衆に渡されて①幸せとは②人生における喪失体験と人格成長③発想の転換④ユーモアに満ちた人間関係を築くと4項目に分けて一見難しい内容ですがユーモアを交えながら話されました。
デーケン氏の講演内容を簡単に説明することはできませんが人間100%死にます。『晴れてもアーメン、雨でもハレルヤ』思い煩いから解放し、自分自身の潜在的能力の可能性に挑戦し、第三の人生へ執着心を絶ち、ゆるしと感謝の表明。そしてさよならを告げる。さらにユーモアは愛と思いやりの表れでユーモアに満ちた人間関係を築きましょうと話を閉められました。
誰もが幸せに、苦しみなく平穏無事に人生を送りたいと願っております。しかし節制に努めても病魔に襲われ、また事故に巻き込まれることがあります。家族の誰かが倒れても同じです。更に金銭的にもゆとりがほしいです。辛いこと嫌なことが次々と起こって、神も仏もあるものかと嘆くことがあります。ある宗教は『神様からの試練だから感謝して祈りなさい』と教え、ある宗派は『ただただ念仏を唱えなさい』と諭します。
世の中聖人君子・心身強健な人ばかりでは面白くもありませんし、どこかに悪魔が潜んでいます。そんな個人が集まって社会を国家・世界を形成しています。
哲学者の話す人間の生命観の根底の問題でとても難しい話だが聞いていると分かったような気持ちにさせられました。でも帰宅してもう一度レジメも読み返して反復しました。
健康とは! いただきます
デーケン氏の講演で不幸な人の特徴として9項目挙げられていてその8項目に『主観的な幸福感と客観的な幸福感』9項目に『信じない人、愛せない人』と記されていました。よく譬えに使われる、コップに水が半分入っている時、『もう半分しか残っていない』と思うか、『まだ半分残っている』と思うか。マイナス思考かプラス思考。私は躊躇なく後者をとりますが皆さんは如何でしょう。
昨日TVを見ていたら新潟の村上で鮭の干物を作る時、包丁を入れる前に職人が手を合わせていました。生き物を頂くのだからと。また別の料亭で鮭を全身余さず料理して膳に並べていました。食べる人も有難く頂戴しましょう。それで消化吸収されて皆が幸せです。
昨今物が豊富で何時でも季節の別なく手に入るようになりましたが、米粒一つ、肉一切れでも粗末にしない心が大切で幸せ健康に直結します。私達脂肪・蛋白質・炭水化物の栄養素を食べるのでなく、生きた食物を頂いてそれが栄養になります。
戦後生まれの方は学校給食を経験されています。戦後栄養不足の児童救済とか米国の余った小麦粉や脱脂粉乳消化のためとか諸説ありましたが、今では食器も内容も随分改善され食物アレルギーの子供にも配慮されています。いただきます。ごちそうさまの挨拶も形だけでなく食べ物への感謝の気持ちが育てば素敵です。私達戦前生まれは本当に空腹になったら好き嫌いなど言っておれずに何でも食べて偏食なんか知らないよと乱暴なことを言います。アレルギーは仕方がありませんが、どの食品にもおいしさ良さがあります。偏食はその良さを知らないとも言えます。丁寧に調理された食べ物有難く頂きましょう。
「薬代に比べたら食べるものは安いものです。」我が家の調理人さんがよく口にします。