眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e85

投稿日 2015年6月1日

わかりやすい色の表示

院長 廣辻徳彦

春は学校で身体測定など健診が行われます。眼科では視力検査と結膜炎や斜視の検査などですが、以前にマンスリー(No,41)で紹介した色覚異常の検査は、平成15年から学校健診の必須項目ではなくなりました。色覚検査が差別の原因になるとか、色覚異常があっても実際にはそれほど問題が生じるわけではないので意味がない、という納得できるような今ひとつ説得力のないようなことが理由です。しかし、現在も自衛官や警察官、消防士、パイロットなどの航空関係といった職種では、今でも採用条件に色覚に関しての条項があります。検査が廃止になって10年、その是非はともかく、自分の異常を知らずに採用試験に臨み、最終的に身体計測で不合格になってしまった事例が生じてしまいました。そこで、今年度から学校現場でも色覚検査が取り上げられるようになりました。
色覚異常についてもう一度紹介しておきます。本来私達は、色を感じる3種類の錐体(L錐体、M錐体、S錐体)と、明暗(白黒)を感じる桿体という視細胞を持っています。色覚異常も分類すれば種々ありますが、頻度的にはL錐体、M錐体に関する異常が99.9%以上を占めます。M錐体がないものを1型2色覚、M錐体の働きが悪いものを1型3色覚、L錐体がないものを2型2色覚、その働きが悪いものを2型3色覚と言います。以前は1型、2型の2色覚を「色盲」、1型、2型の3色覚を「色弱」と呼んでいました。色の見え方を説明するのは難しいのですが、正常では下図左のように、色感覚を円上で示した場合に距離の近い色を似ていると認識するのに対し、1型、2型の異常では円が変形して、「オレンジと黄緑」や「赤と緑」の距離が近くなり、それを似ている色と認識してしまうのです。色覚異常を持つ人の間違いやすい色の組み合わせは、右のようなものと言われています。

緑内障の進行具合と視野の関係図

色覚異常は日本人であれば男性の約5%(20人に1人)、女性では0.2%(500人に1人)に発現します。女性の保因者(遺伝子を持っているが発現しない人:検査では正常)は10%です。白人男性の約8%、黒人男性では4%に発現しています。ということは、日本の人口が男女ともに6千万人ぐらいと考えれば、男性では300万人、女性では12万人の人が色の見間違いをしやすいということになるわけです。男女合計312万人となれば、大阪市の人口約270万人をはるかに超えてしまいます。また、白内障などの病気でも(病気といっても加齢で100%生じます)色のコントラストが低下して区別しにくくなりますし、網膜や神経の病気でもしかりです。
 先日、カラーユニバーサルデザイン機構の武者廣平先生のご講演を聞く機会がありました。見分けやすい色を使う以外にも、色だけで判断させない様々な工夫を取り入れることで、色覚異常者だけでなく色を見分けにくい人にとってわかりやすい色使いをする努力をされているというお話でした。小さすぎて逆にわかりづらいかもしれませんが、機構の活動で下の地下鉄の路線図のように見やすく改良されているものもあります。

緑内障の進行具合と視野の関係図

色使いを変えれば簡単に区別ができると考えがちですが、実際は色が見分けにくい人がたくさん存在します。色だけのことではなく、様々な分野においてバリアフリーの社会を目指したいものです。