眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e80

投稿日 2015年1月5日

いろいろな色のお話

院長 廣辻徳彦

あけましておめでとうございます。今年の年始はお天気が荒れるという予報でした。元日は少し雲があったものの初日の出を見ることができましたが、その後お昼過ぎからは予報通り、久しぶりに宝塚でも雪が積もる寒い1日となりました。新しい年の始まりです。今年もよろしくお願いいたします。
お正月に限りませんが、朝焼けと夕焼けは空が赤く見えます。お昼頃、お日様が空高く上がっている時空の色は青いのに、朝夕には赤く染まるのはなぜでしょう。色覚の項でも書きましたが、たくさんある種類の中で人間が感じることのできる光を可視光線と言います。いわゆる虹の七色のことで、詳しくはおおよそ380〜780nm(ナノメートル)という波長がこれに当たります。これより短い波長も長い波長も目には見えず、紫の光より短いものが紫外線、エックス線(X線)、ガンマ線(γ線)、赤の光より長いものが赤外線や電波(マイクロ波、レーダー波、ラジオ波、低周波など)と呼ばれます(下図左参照)。可視光線も赤外線も実は一定の波長を持っています。波長というのは文字通り波の長さで、波の山から山の間の長さを表します(下図右参照)。

虹彩の形状に異常が生じる場合

ラジオといえばFM放送とかAM放送などを聞きますが、例えば超短波と言われるFM放送の波長は1〜10m、中波と言われるAM放送の波長は100〜1,000mの長さです。これに比べるとnm(ナノメートル)とは10億分の1メートルなので、光(可視光線)の波長がいかに短いかがわかります。波長が長い光線(電波)ほど、障害物の影響を受けにくい性質を持っています。FM放送よりもAM放送の方が広い範囲で聞くことができるのは、この性質のためです(もう一つ、AM波は上空の「電離層」というところで反射されるので遠くまで届きます)。昼間、真上に太陽がある時には地表に届くまで通る空気の層の距離と、朝夕に通る空気層の距離は下図左に示す通り異なります。長い距離を通る際、波長の短い紫から緑の光は空気やほこりで屈折、散乱してしまい、黄色から赤の長い波長の色だけが目に届くので朝焼け、夕焼けが赤く見えるわけです。同じ理屈で、視力検査の際に赤と緑を背景にした検査をします(下図中央)。

虹彩の形状に異常が生じる場合

同じレンズで矯正していても、赤い光と緑の光では屈折しにくい赤の光の方がわずかに遠くまで届きます(上図右)。赤い方がはっきり見える場合は良いのですが、緑の方がはっきりする場合は眼鏡が強すぎる「過矯正」ということになるわけです。
昨年ノーベル賞物理学賞を3人の日本人が受賞しました。「青色ダイオード」の発明に対してのものです。テレビで散々説明されていたので今更ですが、赤、緑、青という「光の3原色」の中で唯一実現できていなかった青色が作られたことで、LEDの白色電球ができるようになりました(下図左:ちなみによく家庭で使われるインクジェットプリンターの3原色は、重ね合わせると黒くなるシアン、マゼンタ、イエローです;下図右)。

うさぎと蛙の相撲

網膜にも光を感じる細胞(視細胞)があります。視細胞のうち錐体細胞にも3種類の細胞があり、それぞれの感受性の組み合わせによって色を認識しています(以前は赤、緑、青錐体:現在はL、M、S錐体と呼ばれています)。この錐体の働きのバランスが悪いと、色覚異常という形で症状が現れてしまいます。最近では、LED画面などから発せられる短い波長(青系)の光が、網膜に障害を与えたり、体のリズムを狂わせたりするではないかという報告があり、それを予防する眼鏡なども販売されています。色にもいろいろ、また機会があればいろいろなお話を書きたいと思います。