新しい検査機器(OCT)
院長 廣辻徳彦
この6月、広辻眼科に新しい検査機が入りました。OCT(光干渉断層計:米国オプトビュー社:RTVue-100)という器械です。今回はこのOCTについてご紹介します。
OCTというのは、眼球の視神経や網膜の画像を解析するCTのような検査です。わが国では数年前から使用されています。数年ごとに改良されているのですが、昨年にはこれまでの機器の性能をはるかに上回るフーリエドメインという機種(第4世代)が発売されました。眼底写真の撮影とほぼ同様の器械に顔を約5分程度乗せるだけの簡単な検査で、緑内障の早期発見や加齢黄斑変性の早期診断に極めて有用です。先日NHKの「試してガッテン」で放送された「網膜を襲う現代病」という番組でも加齢黄斑変性の検査にこのOCTが紹介されていました。
新型のOCTでは、従来の機種よりも短時間(約50倍以上の速さ)で高解像度の画像を得られます。これによって黄斑部という網膜の中心部に生じる加齢黄斑変性症や黄斑円孔、黄斑上膜、黄斑浮腫などの病気に対して、網膜のどれくらいの深さに病変があるのか、どの程度の病変があるのかを知ることが出来ます。早期発見だけでなく、診断の確定や治療方針の決定などにも威力を発揮します。数年前であればかなりの熟練医でも見つけられるかどうかわからないという病気を、きちんと検査さえできれば見つけられるというレベルの驚くような進化です。
RTVue-100
黄斑円孔のOCT画像
もう一つ進化した点は、緑内障の診断についての情報です。緑内障とは視神経が障害される病気です。このOCTには新しい解析ソフトが装備されているので、緑内障で特徴的に表れる視神経自体の変化を細かく解析できます。また、網膜にある神経線維層の厚みを測定してその部分の菲薄化(神経が枯れて薄くなること)の有無を調べることができます。視野検査と併用することで、緑内障の早期発見、経過観察に非常に有用といわれています。
従来型の機種は大病院などではかなり普及していますが、新型の機種については県下でもまだそれほど導入されていないようです。器械ばかり新しくても、それを使いこなさないことにはどうにもならないのですが、来院された皆様にはできるだけ還元できるよう、スタッフ一同研鑽していくつもりです。今年の4月からこの検査にも健康保険が適応されるようになりました。網膜の病気、緑内障などに対し、これまで以上に積極的な取り組みをしていく所存です。ご質問等ありましたら、お気軽にお尋ねください。