初めてのコンタクトレンズ その1
院長 廣辻徳彦
1月から3月にかけては入学試験のシーズンです。受験生の皆さんには頑張ってほしいものですが、入試が終わって新学期を迎えるまでに、メガネからコンタクトレンズ(以下CL)に変えようと考える人も多いようです。CLには、ハードコンタクトレンズ(以下HCL)とソフトコンタクトレンズ(以下SCL)があります。今回は、CLについてとHCLとSCLがどのように違うかなどをご紹介したいと思います。
現在日本では、CL人口が約1500〜1800万人いると推定されています。約10人に1人以上がCLをしている計算になります。メガネに比べて、いくつかの利点がCLにはあるのは間違いありません。しかし、メガネではレンズが割れるなど特殊なことが起こらない限り眼に障害を及ぼしませんが、CLは眼に直接装用するので間違った使い方をすると失明につながる病気を引き起こします。せっかくCLを使用しても、眼が見えなくなってしまっては大変です。十分に気をつけて使いたいものです。メガネとCLとの差を挙げてみます。
- メガネCL
- 年齢に関わらず使用できる
- 比較的安価(金やべっ甲などの特別な材料は別)
- 眼に直接の障害を及ぼさない
- 度数に左右差があると使いにくい
- はずすと見えない(スポーツなどで使いにくい)
- くもることがある
- CL
- 枠がないので視界が広く見える
- 度数に左右差があっても矯正可能
- 激しい運動でも外れにくい(SCLの場合)
- 気温や湿度差でくもることがない
- 取り扱いに注意が必要
- 感染などが生じると、失明の可能性がある
CLははめていることが他人にわからないので、美容的な観点から使用されることもあります(メガネもおしゃれ道具として使われることもありますが)。カラーコンタクトや黒目がちになるようにデザインされたCLもありますが、これらの害については次回後述します。さて、HCLとSCLの差はどんなものでしょう。
- HCL
- 角膜乱視などに対して矯正効果が高い
- 汚染されにくく、消毒も比較的容易
- SCLより耐久性が高い(2-5年程度)
- 衝撃で外れやすい(失くすと高くつく)
- 異常が生じたときに気づきやすい
- SCL
- 異物感が少なく装用しやすい、慣れやすい
- 激しいスポーツでも外れにくい
- 耐久性はHCLより低い(使い捨てでないのは1-2年)
- レンズの汚染と感染の確率がHCLより高い
- 異常に気づきにくい(悪くなるまで放置してしまう)
矯正効果が高く耐久性もよいHCLですが、スポーツに適さないことや、慣れるまでに異物感を感じやすいということがあり、最近はSCLを最初から選択することが多くなってきています。ただ、昔からある交換しないで使用を続けるSCL(従来型SCL)には、感染の可能性が高いという大きな問題点があります。初めてのレンズには毎日交換する1日使い捨てSCL、2週間で交換する頻回交換SCL、定期的(1ヶ月、3ヶ月など)に交換する定期交換SCLが多く使われる傾向です。また、学生の間は、近視が進行することがあります。その場合、HCLや従来型SCLでは新たなレンズの購入が必要ですが、交換型SCLでは度数の変更もスムースです。
を初めて合わせる場合は、まず近視などの度数と角膜の形を計測します。度数と角膜の形に合うように選んだCLを実際にはめてみます。度数や装用の具合を確かめ、一番よい度数とはまり方のレンズを選びます。その後、はめはずしの練習をし、しばらく実際に使用できるのを確認してから使いだすことになります。
次回はCL の合併症や、カラーコンタクトについての説明をする予定です。