眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e11

投稿日 2008年11月1日

目がショボショボするとき その3

院長 廣辻徳彦

「目がショボつく」症状の原因になる病気はたくさんありますが、今回はその3として「マイボーム腺機能不全」と「眼瞼内反症」をご紹介して最終にします。
マイボーム腺機能不全
マイボーム腺というのは眼瞼(=まぶた)にある分泌線です。まぶたには上下数十本ずつまつげが生えていて、眼を外界から守るシャッターとしての働きや眼の表面を涙でうるおすワイパーの役目をしています。図1で示すように、1列に生えているまつげの内側に数十個の小さい穴が開いています。この穴がマイボーム腺の分泌孔で、ここから涙の成分のひとつである眼の乾きを抑える油性の分泌物が出てきます。
この分泌腺が詰まる、加齢などの原因で分泌物(脂質)が固まって石鹸のようになる、などの原因で涙の表面に油分の膜をはれなくなると、涙が乾きやすくなってしまいます。その結果、ドライアイや「目がショボショボする」という症状が出てきます。
治療はマイボーム腺からの分泌を改善させるために、まぶたの洗浄を行います。まぶたといってもまぶたの皮膚表面を洗うのではなく、薄めたベビーシャンプーを綿棒につけて「まぶたの縁」をこすり洗いする、入浴時に小指に付いたシャンプーで「まぶたの縁」をやさしくこするなどの方法があります。まつげの付け根をきれいにする感じです。蒸しタオルなどをまぶたの上に置いてマイボーム腺を温めるのも効果的です。炎症を防ぐために抗生物質や消炎剤の点眼薬や軟膏を使い、ドライアイに対しては人工涙液などを用います。この病気とドライアイや先月お知らせした結膜弛緩症とが合併していることもよくあります。
眼瞼内反症
よく逆まつげ(=睫毛乱生症)と間違われてしまうこともある病気です。逆まつげは1列には得ているはずのまつげの中で、むかしの結膜炎やめばちこなどが原因で数本だけが眼球に向かって生えて眼をこすることで症状を引き起こします。当たっているまつげを抜くか、毛根を熱で焼いてしまう治療を行います。ところが、内反症というのはまつげを抜いたら楽になるものではなく、まぶたそのものが内側にめくれて眼球をこすってしまう病気(下図2参照)です。
加齢によって皮膚や筋肉にたるみが出ることとまぶた自体の張りがなくなることで、本来外側に向かって生えているはずのまつげが、そっくり内側に向いてしまいます。指であっかんべーをするように外に向けてやると楽になりますが、2、3回まばたきをするとまた元に戻ってごろごろします。まつげを全部抜いてもすぐに生えてくるので、治療としては手術が適当です。再発することもありますが、ほとんどは1回の手術できれいに症状が治まります。

目がショボつく

図1:矢印がマイボーム腺開口部
図2:左が正常、右が内反症(まつげが眼球に当たる)