いよいよオリンピック?
院長 廣辻徳彦
関西では例年になく早く始まった梅雨ですが、今のところ宝塚周辺では大雨に悩まされたり、空梅雨で困ったりということもなく過ぎています。例年通り7月下旬に梅雨が明けるとすれば、オリンピックが開会する連休の頃は夏空になっているはずです。これまでのマンスリーで、「オリンピックは中止やむなし」という意見を書いてきましたが、東京オリンピックは開催されそうです。観客数については、現時点で客席の半分か1万人の少ない方を上限にすることになっているようです。感染拡大があれば無観客も考慮されるらしいのですが、そもそも感染が拡大したら開催自体が疑問です。現在、世界では感染の再拡大が懸念されています。デルタ株(インド型)というタイプが増えつつあり、日本でも感染力の強いこのタイプが増えてくる予想がされています。幸い、ワクチンはこの株に対しても有効という知見があるので、自分だけでなく家族や大切な人に感染させないためにもワクチンの接種が進めば良いと思います。オリンピックで来日した選手や関係者は自由に出歩かないことを求められているそうですが、おそらく大きな罰則を科すことができないわが国では少なからず出歩く人がいるでしょう。東京にいれば、期せずしてそういった人との接触の機会も出てくると思われます。8月下旬からはパラリンピックも開催される予定ですので、夏から秋にかけて関東から全国へ感染が広がらないように注意する必要がありそうです。
私は、オリンピックはもちろんスポーツが大好きです。コロナウイルス感染症のせいで開催について否定的に話をすることが多かったのですが、いつもは開催期間中楽しくて仕方がありません。先日の陸上100mの日本選手権決勝も久しぶりにワクワクした気分で生中継を見つめ、今津線で関学に通学していた多田選手の初優勝には思わず拍手をしてしまいました。柔道の阿部兄妹にもぜひ活躍して欲しいです。開催するなら選手には申し訳ないのですが、中途半端な規制ではなく完全無観客、選手村と練習会場と試合会場以外の立ち入り禁止でいいかと思っています。世界最大級のスポーツイベントなので商売っ気が入るとしても、それくらいのマネージメントをして欲しいものです。現在行われている全英オープンテニス(ウインブルドン)では、観客はワクチンの2回接種修了証か感染の陰性証明書の提示が必要だそうです。きっと東京都やJOCには、そのような対策を考える気概も気持ちもないようなのでとても歯がゆい気持ちです。
健康とは!
最近はコロナウイルスの話題が多くなっているこの欄ですが、健康についてこの時期になると思い出すことがあります。今は遠出ができませんが、初夏のこの季節「ハモ」が旬を迎えていて、「美味し国」淡路島で美味しいハモ鍋がいただけます。数年前の6月、私たち夫婦とお友達の計6人で、泊まりがけでハモ鍋を食べに行ったことがあります。淡路のハモ鍋にはハモの卵がついてきます。おそらく新鮮な卵でないと流通しないのでしょうが、ハモの卵とプリプリの身、淡路産玉ねぎのいっぱい入った少し甘い出汁のハモ鍋を、とても美味しく楽しくいただきました。
一行の中に、社交的でアクセサリーなどのお仕事をされていた友人がいました。旅行の後も元気に仕事をされていたのですが、夏の終わり頃から少し身体の調子が悪いと言って病院で検査をしたところ、癌が見つかったと驚きの連絡がありました。旅行と同じ年の10月のことでした。日本人の2人に一人は癌になり、3人に一人は癌で死ぬ時代です。確率的に十分にありうることでも、親しい友人の身にそれが起こったことは受け入れがたいことでした。多くの癌についてはたくさんの知見がまとめられ、その状況によってどのような治療をするかがガイドライン化されています。残念ながら彼女の癌のステージは、最初の相談の時に手術の治療ができる時期を過ぎていたことが理解できました。抗癌剤の治療などを受けていたのですが、半年後に旅立ってしまいました。発見後からわずか半年後の翌年の4月のお葬式で、淡路島に旅行に行ってまだ1年も経っていないのにと皆で話ししたことを覚えています。同じ年の7月の妻の父、10月に私の父が急逝した平成30年は、記憶に残る年となってしまいました。
健康を維持することはなかなかに難しいことです。長患いは大変にしんどいものですし、昨今のコロナ感染症のようにお見舞いにも行けないままお別れしなければならないのも悲しいことです。身体に問題がなくても、飲酒運転のトラックに巻き込まれて亡くなった子供達やその親御さんの悲しみは想像とてもできません。健康を考える時には、必ず対極の病気や死について考える場面が出てきます。季節のものを楽しみ、美味しいものをほどほどにいただく、健康の維持に間違いなく役立つことかと思います。私にとってこの季節は、美味しいハモ鍋の季節でもあり、大事な友人を想い出して改めて健康について考える時期になっています。