眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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投稿日 2021年4月2日

令和3年度の始まり

院長 廣辻徳彦

4月は日本人にとって年度始まりという特別な時期です(反面、3月は年度終わりで会社や役所で大忙しになることも恒例です)。昨年、コロナ感染で学校が休校を余儀なくされた際には、新年度を欧米に合わせて9月にしようという声もありました。結局、あまり話題にはならなかったように記憶しています。確かに留学や帰国などで外国と年度始まりが揃うのはメリットですが、それだけでこれまでの習慣になっていた年度の時期を変える理由にはならなかったのかと思います。9月は台風シーズンなので、温暖化が言われている昨今、新学期が台風に邪魔されてしまう不安も残るところです。
一昨年にも書いたのですが、年度というのは便宜上の1年の単位で、学校で使われる「学校年度」や国や会社などでの「会計年度」などの種類があります。詳しく調べると、会計年度は明治以後、当初は米の収穫に合わせたのか10月始まりで開始されています。その後1月→7月へと変遷し、明治19年から4月始まりになりました。4月始まりになった理由は、税を米でなく金銭で納めるようになったため米の換金、納税をする時間と国が予算組みをする時間の余裕を持たせたという説や、イギリスの会計年度に合わせたという説、財政赤字を減らすために当時の大蔵卿の松方正義が酒造税に合わせて会計年度を動かしたという説などがあるそうです。学校年度は欧米の学校制度を取り入れたこともあり、高等教育、特に大学では当初9月が年度始まりでした。しかし、会計年度が4月になったことで、士官学校の年度が4月始まりに変更され、それに追随して変更する学校が増え、明治33年に小学校、旧制中学校、師範学校は4月入学と明文化されました。補助金などの関係で国の会計年度に合わせる事情もあったようです。その後もしばらくは旧制高校と帝国大学は9月入学を続けていたのですが、大正8年に旧制高校、大正10年に帝国大学も4月入学となり、会計年度、学校年度ともに4月に統一された今の環境になったということです。大正10年といえば1921年、今年でなんと学校年度の4月始まりは100周年の節目です。日本人の大好きな桜のシーズンが重なって、4月に年度が始まるという観念が定着しているのかもしれません。
ついでですが、私は3月の末が誕生日なので年度ごとに歳を重ねることになります。60歳まであと1年、特に立派なことができるわけではありませんが、悔いなく生活したいと思っています。

健康とは!(コロナウィルスワクチン接種始まる)

緊急事態宣言が3月21日まで首都圏で延長されましたが、解除後すでに感染者数の増加が始まっています。近畿、特に大阪でもその傾向は明らかです。その対策として一番に期待されているワクチン接種の進行状況は、輸入に頼っていることと、世界各国で需要が供給を上回っている現状では仕方がないことですが、予定より遅れているようです。まずは前線で働く医療関係者、そして一般の医療関係者と高齢者という順で進む予定で、私たちも連絡が来るのを待っている状況です。
ワクチン接種は、感染するリスクを下げる、感染した際の重症化リスクを下げる、集団免疫が獲得できれば日常の生活に戻れる、などのメリットを持ちます。神戸市が2月から3月にかけて行ったネットアンケートの結果では、接種を受けたいが6割、受けたくないが1割、わからないが3割という結果でした。受けたい理由は先に書いたメリットと同じ理由が多く、友人、家族にうつしたくないという理由も見られました。接種をためらう一番の理由は副反応についてわからない、もしくはそれが怖いというものでした。もう少しの期間様子を見て受けたいという考えの方もいます。3月末の時点で、全世界ですでに5億回以上接種されているワクチンの様子をさらにどう見たいのかという気もしますが、したくない理由づけなのかもしれません。アストラゼネカ製のワクチンでの血栓症の報告も気になりましたが、明らかな因果関係は見つかっておらずWHOやEUの医薬品庁は接種の推奨を勧告しています。
ワクチンをゼロリスクで行うことはできません。例えば、日本では毎日4000人程度が何らかの原因で死亡しています。これから接種が進めば接種と無関係であっても、確率的に接種後翌日や1、2週間後に死亡する人が出てきます。それをヒステリックに報道するのではなく、科学的に因果関係を調べていくようにしたいものです。私は「接種の機会があれば即する」という考えですが、これまでのワクチン接種で重篤な副反応が出た方は熟考すべきところでしょう。最終的に個人で判断すべきというところに落ち着きますが、接種しない人(どんな理由でも)を非難しないことも大事です。世界的には接種完了の証明があれば、コンサートへの参加や会食も可とする動きもあるようです。遠くないうちに、インフルエンザ並みの予防接種で過ごせる世の中になって欲しいと思います。ちなみに、1回目の接種を受けた息子と妻は、副反応について「打ったところが少し痛む」とかだけ言っていました。