笑顔で挨拶をしましょう
理事長 廣辻逸郎
「おはようさんいい天気でよろしいな」『ほんま気持ちよろしいな』「何処かお出かけでっか?」『へえちょっとそこまで』「そうでっかそらよろしおまんな」落語にありそうな会話が道端でよく聞かれました。大阪商人は「よう儲けてはりまっか」『ええぼちぼちだんな』の返事のニュアンスで相手の景気を判断したと聞きます。挨拶は礼儀の第一歩です。 特別親しい間柄でなくても道で人と会った時は何か言葉を掛けて挨拶をして当たり前でした。買い物も店の人と会話を交えながら品を決め、時には僅かな端銭をまけてもらって満足して帰っていました。今は商品を手にとって、産地と消費期限を確かめて籠に入れ、黙ってレジに並び、一言も物を言わずに支払いを終わって買い物を済まします。銀行郵便局そして病院の窓口でも黙って書類を出して、何か聞かれたらそれにだけ返事をして、要件が終わると黙って帰る人を多く見ます。車内も静かになりました。車内の会話が減って、ケイタイにお辞儀をして指を動かしています。友人とは絶え間なくメールを送って声を聞かなくてもいいのです。
人間が言葉を発しなくなりました。逆に洗濯機が掃除機が炊飯器が家のあちこちで知らせてくれ、自販機が大声で「有難うございます」と言っていて驚きました。ファーストフードのバイトの「いらっしゃいませ」「有難うございます」はマニュアルで自販機と変わりません。と言いながら、私自身家の中で老妻とどれだけ会話を交わしているか、あまり偉そうなことは言えません。電話は相手が暇ならいいですが、手を離せない時もあり、外国では時差もあります。メールなら好きな時に読んでもらえます。生の声が聞きたければ仕方ありません。所詮世の中アナログからデジタルの時代になりました。
更にみんなもっと明るい表情を失っていないでしょうか。ニタニタは異常ですがもう少し明るい笑顔が欲しいです。 私達の普段の生活でもう少し笑顔で挨拶をして、血の通った交わりがあって欲しいと願います。年齢、貧富の差は関係ありません。
健康とは! ダニ等が関係する感染症
『日出づる国の天子書を日没する国の天子にいたす恙(つつが)なきや』推古天皇15年(西暦607年)に聖徳太子が隋の皇帝にと遣隋使に託された文書に『恙』という病気や災難に関連した言葉が使われていました。
秋田・山形・新潟地方の河川敷で感染発病するツツガムシ病は野鼠に寄生するダニの保有するリケッチャーが原因で風土病として恐れられていました。現在はほとんど聞きませんが、最近日本で新しいダニによる SFTS(重症熱性血小板減少症候群)という4例の死亡例が発表されて驚きです。海外旅行もされてなくて何処でダニに感染されたか不明です。
ダニは種類が多くて、多くはマダニですが、私の診療所でも2例瞼のまつ毛に食いついている生きたダニを経験しています。イノシシも沢山ダニが寄生しているから要注意です。ハウスダストに沢山ダニがいることは周知の事実でアレルギーの原因で喘息や湿疹を起こします。日本人は清潔好きで最近のみ・しらみも殆ど見なくなりましたが、海外からの旅行者と一緒に持ち込まれることがあります。虱(しらみ)は頭虱・衣虱・毛虱(陰部)とあって其々生存場所が決まっています。
眼トキソプラズマ症は母体の胎盤を通って感染し、網膜の中心部に変性変化を起こし重大な視力障害を起こします。トキソの原虫は猫のトイレ掃除や園芸から経口感染することがあります
魚に寄生するアニサキス等を刺身など食べて急性腹症を起こすこともあり、有害無害の生物(目に見えないミクロの世界も含めて)の中で私達は生きていることを忘れないでおきましょう。