春隣
理事長 廣辻逸郎
今年は例年以上に寒くて、日本海側や北海道は雪が多いようです。でも日脚は日一日と伸び日没も6時近くになりました。庭の梅の蕾も少しふくらんで赤みを帯びて来ました。俳句では春隣(はるとなり)と季語にあって寒い冬からそこまで来た春を待つ気分を良く表しています。頑張って2月を越しましょう。
現在と違って戦前は暖房設備も少なく、小さな火鉢が一つだけ。せいぜい豆炭のあんかを囲みました。現在はサッシの窓で隙間風もなく空調で室内も快適。外出しても軽くて暖かい羽毛に守られて寒さも少なくすませます。不景気と言いながら日本人の生活は格段に向上しています、政権が変わってアベノミクスとかで円安・株高で自分の財布に変化が無いのにお金持ちになったような気になるのも可笑しなものです。
一方暗いニュースとしてアフリカでテロによって日本人十名が亡くなられました。厳しい環境の土地で仕事をされていたのに本当にお気の毒です。もう一件大阪の高校で体育科教師の体罰で生徒が自死をし、体育科の入試中止事態が起こりました。
『愛の鞭』と言いますが相手を叩く時は愛情でなくて憎悪で暴力です。そして相手が自分より弱くて抵抗しないことが分かってのことで卑怯です。戦前軍隊では古年兵が新兵に連日暴力を振るったと聞きます。東洋の魔女バレーボールの選手達は今でも当時の大松監督の厳しい練習を語っていても感謝こそしても恨み節を聞きません。暴力でなく練習の先頭に立って指導されたのでしょう。
学校でのいじめも悲しい事件です。いじめも完全な暴力であり刑事犯です。平和な時代になぜこのような事件が多発するのでしょう。戦後教育のせいと切り捨てる人もいるが分かりません。人間だれもが持っているおぞましさでしょうか。
健康とは! 食べ物は薬です
先日ある先生から、自分が栽培していると『ストロベリートマト』食べるほおずきを頂いた。普通夏に見るほおずきを小型にした、外側は少し青茶っぽい苞の中に黄色い直径10㎜程の実があって、口にすると少し酸っぱい汁がひろがる。イノシトールが含まれて外国の高級ホテルでも供され、日本の有名な女優も愛用していると広告に出ている。結講な値段をしています。
今でこそ有害植物や動物は識別されているが大昔の人類は経験によって有害無害を区別し、また薬用と毒薬の区別に知恵を絞ったのでしょう。毒学から薬理学が始まったと講義で教授の第一声でした。
ケシの実から阿片を使った最初の人はそれが鎮痛に作用し、吸引すれば正に悪魔の魔薬(麻薬)になることを知ったのでしょう。河豚の毒が卵巣にあることを知るまでにどれだけの犠牲者があったでしょう。韓流ドラマを観ていると矢や刀の傷を薬草で治し、毒薬を解毒する薬草を飲ましてドラマを進行しています。有名な華岡青洲の麻酔薬は朝鮮朝顔から抽出したマンダラゲでアトロピン作用という劇薬で実験途中で母を亡くし、妻も失明している。(花が綺麗で身近に植えられている)
しかし先人は必要な生活の中から食用になるもの、薬用になるものを選別し、栽培して今日私達その恩恵に与っています。
オオバコ・ゲンノショウコ・ドクダミなど路傍の野草です。ヨモギは草餅に重宝され、もぐさの原料です。南天の葉は解毒作用があると折箱に入れられています。大地の恵みで育った生物植物は根菜であれ野菜であれ果実であれみんな有用無害な栄養源で、偏ることなく適量を摂取すれば難しいアミノ酸の名前を覚えたり、カロリー計算をしなくても健康に役立つているんです。前にも書きましたが、学歴もない普通の老婆が長生きの秘訣は「食べ物は薬」と言っていました。至言と思います。