眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療社団法人 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m13

投稿日 2007年3月1日

世相の変化と眼の病気の移り変わり

理事長 廣辻逸郎

私が眼科の教室に入局して五十年を過ぎました。昭和二十年代後半まだ眼科の学会ではトラコーマ関係の演題が相当数ありました。眼科外来もトラコーマ始め結膜・角膜の外眼部の疾患が多数を占めていました。内科は結核。眼科のトラコーマは国民病でした。結核でどれほど沢山の有為な青年子女を亡くしたことでしょう。軍隊でもトラコーマは重大な伝染病でした。戦前の富国強兵を旗印の日本では学校検診もこの結核・トラコーマ対策でした。幸いにしてストレプトマイシンはじめ抗生剤の出現で結核は激減しました。(無くなったわけでなく問題が残っておりますが)トラコーマも現在学校検診では診る事が無くなりました。日本人の生活環境の改善によるものです。
上下水道の完備。清潔な生活習慣が関与しております。
日本人の衣食住の改善とともに眼科も外眼部の疾患が減って、内科関連の疾患が増えてきました。高血圧・腎炎・糖尿病疾患です。眼科全体レッドアイからホワイトアイに重点が移ってきました。
人体で直接血管を診られるのは眼底のみです。脳動脈血管硬化症との関連で眼科検診の重要性が見直されました。三十年代に始まった血液透析の浸透によって腎炎性網膜症が劇的に改善されるのを目の当たりに出来ました。
各種疾患による眼底出血もその後硝子体手術の進歩によって失明から多くの人を救うことが出来る様になってきました。
学校で結膜炎が減少してきましたが、テレビの普及マンガの氾濫、進学塾と児童生徒の近視の増加が問題視されるようになりました。近視の原因はまだ問題がありますが、宝塚では小学校高学年で視力1.0未満が60%を越しております。
高齢化と共に加令性眼疾患が当然増加しました。白内障は手術法の改良や人工水晶体の進歩で術後の視力改善も良好で日帰り手術が通常になりました。一方緑内障も研究と治療の進歩で初期に発見治療されるようになりました。
加令性黄斑変性症という失明につながる病気が問題ですが、診断治療法が進歩しておりますから、この難病から開放される日もありましょう。
遺伝子治療・臓器再生医療の研究もされています。期待しましょう。

健康とは! 自分の健康は自分が考えて守りましょう

先般某テレビ番組の捏造問題がありました。納豆がダイエット効果があると放映されて、スーパーの棚から商品が無くなって、それが捏造で視聴者が怒ったということです。少し考えればおかしいと分かるはずですが、テレビで言っていたからと飛びつく人が多いのに驚きます。新聞の川柳欄に 「ダイエットしても中身は変わらない」というのが載っていました。
新聞に載っていたから、テレビで放映されていたから間違いないと思った。その他よくあるのが誰かが言っていたからというのもあります。「その人は眼科のお医者さんですか」と聞くと、いいえ、お友達或いは、誰だったか、と至極あいまいな答えが
返ってきます。テレビが教科書でない事はよくお分かりでしょう。新聞も真実をのみ報道するものでないことは事実です。猫が鼠を捕っても記事になりませんが、鼠が猫に噛み付けば記事になります。テレビで言っていたから栄養があるのでなく、夫々の食物をうまく摂る事によて栄養になっているのです。
自分の健康は自分で考えて守りましょう。

眼鏡処方とメガネ店

眼科の大事な仕事の一つが眼鏡処方箋の発行です。治療や手術で視力を回復するのが眼科医の仕事であると同様に、視力を測定し、その方に適応した眼鏡処方箋を発行することも大事な仕事です。
近視・遠視・乱視・老眼。 特殊なレンズとして斜視のプリズムレンズ弱視眼鏡があります。
メガネの処方を簡単に考えておられる方があるかもしれませんが、適正な眼鏡を使用していないばかりに、頭痛・肩こりや、その他不快な全身状態を起こす事があります。
1 処方前の検査
最近は精巧なレフラクトメーターという器械が発売されて、その人の屈折状態は比較的正確に計測出来ます。しかし器械では調節という作用が入って、近視が強く出る傾向があります。この頃はどこのめがね屋さんも器械を置いていますから、おおよその検査は可能です。
しかし、角膜から網膜更に視神経即ち眼球全体のどの部分に病気があっても、視力に影響します。
その病気の影響を無視してメガネを作ると必ずクレームがでます。
見にくくなったと、めがね屋さんに行ってメガネを作ったがどうもおかしいと来院された方を診察すると中心性網膜炎といって、眼底の中心部に浮腫を起こしている患者さんがありました。
この病気は中心部の腫れで、少し + 遠視のように検査で出ます。メガネを新調してもうまく行くわけがありません。屈折検査には眼の異常の有無を検査する事が前提条件です。
2 人間の目は器械ではありません
人間の目は器械ではありません。体調・仕事を長時間持続したか、年令等色んな条件が視力に影響します。高齢の方は特に白内障などの影響を受けます。
ずいぶん前になりますが、ある方が、眼科医・眼鏡店を何軒か廻って処方箋を貰ったが、夫々処方の数字が違っていたと不信感を投書されていました。違っていて当然なのです。
検査値そのままの数値を処方するものではありません。今までの使用していたメガネの度数、仕事の内容その他諸条件を勘案して処方箋を出します。
3 眼鏡の調整は高度の技能が必要です
更に眼鏡の調整は大変高度な技術が必要です。最近のように、各種の多焦点レンズやパソコンの長時間の使用など生活環境の多様化など加わって、いかに処方に留意しても、眼鏡の調整を正確にされないと、気持ちよく眼鏡を使用することが出来ません。
そのためにはそれだけの技術を持った眼鏡士のいる眼鏡屋さんが必要です。左右の眼鏡の焦点位置、それも遠近を正確に調整されなければなりません。
高級で安いメガネをと希望される事は当然でしょうが、優秀な眼鏡士のいるめがね屋さんを選んでください。
メガネ店の名刺を処方箋に入れることがありますが、それは患者さんの住まいの近くで安心して作ってくれるめがね屋さんを推薦するもので、決して強制するものではありません。リベート目的で名刺を入れるものではありません。
これだけ細心の注意で眼鏡処方をしても、年間2~3余儀なく処方を修正する事があります。
 適正な眼鏡で快適な生活を送りましょう

メガネに限らず、受診時に不安なことや疑問点があれば、遠慮なくお申出下さい。