いのちをいとおしみましょう
理事長 廣辻逸郎
お正月を迎えたばかりですが、はや2月の声を聞きます。
1月いぬ、2月逃げる、3月去ると言ってあっという間に月日が変わると先人は申します。それにしても年々気温が高くなって、分厚いオーバーを着ることもなく、生活は凌ぎやすくて助かります。今年は流感の流行も現在なく、内科の先生方も例年この時期見られるインフルエンザの発生がないと話されております。
それにしても、最近の新聞・テレビの報道は悲しくておぞましいニュースの連続に心を痛めます。
配偶者や肉親を殺害するだけでなく、切断して遺棄するなんて、いくら憎しみが強くてもそこまでどうしてと言いたくなります。
日本は戦後六十年以上平和で戦争から開放されております。イラク派兵がありましたが、幸い犠牲者を出さずに終える事が出来ました。日本人誰もが戦争は嫌、平和と口にしておりながら、心は荒んできたのでしょうか。
昭和十年台初め、阿部定事件と言ってセンセーショナルな事件がありました。戦後大島渚監督が「愛のコリーダ」の題名で映画化しておりますし、渡邊淳一氏のある小説もこの事件を念頭に書かれたと聞きました。今の「愛の流刑地」も殺人事件ですが、バラバラ事件とは全く違っております。
性愛の究極は相手に殺して欲しい、相手を殺していいというものではありませんが、最近のおぞましい殺人事件とは全く次元が違います。学歴も収入も関係のない、なにか日本人おかしくなってきたのでしょうか。
いとおしむ。愛という字をかきますが、ひらがなのままがよさそうです。
健康とは! アンチエイジング医学
某テレビで納豆を食べてダイエット出来ると放送したら、店頭から納豆が無くなって、その後その報道がでたらめであったと分かって、社長さん以下重役さんが頭を下げていました。
納豆を食べたらダイエット出来ると信じる方がおかしいと、誰もが納得するのに、テレビで出ていたから真実だと信じたと視聴者は言います。
そのあと、レタスで快眠出来ると2年程前に報道されたのも捏造されたものであったと言われ、番組が中止になっただけでなく、この種番組は信用度0になってしまいました。
不二家の賞味期限切れには敏感で許さない消費者も、納豆でダイエット出来ると信じた人も同じ消費者である事が興味深いです。
最近アンチジェネリック医学が唱えられています。抗加令医学です。日本人の平均寿命が延びていますが、高齢になっても体の器官を若くしようとされて研究されています。この学会の有力メンバー東京の某有名私大眼科教授はサプリメントを一日85錠服用していると聞いて、私は自分の耳を疑いました。抗加令医学はこれからも発展する医学部門でしょうが、食物と人間の関係の根幹を間違った科学者がリーダーのこの学会に不信感を否めません。
少し説明不足ですが、80歳になって50代の体力は必要でしょうか。夫々の年令に応じた生き方があっていいと思います。ただ人生最後まで尊厳をまっとうする事の難しさを考えます。
アレルギー性結膜炎の治療と対策
ぼつぼつスギ花粉症の時期になって来ました。今月は花粉症はじめアレルギー性結膜炎について日本眼科医会の冊子を参考に説明します。
花粉症は花粉によって目と鼻にアレルギーをおこした状態です。目のアレルギーには、この花粉症のように、花粉の飛ぶ季節に限定してかゆみや充血がおこる季節性アレルギー性結膜炎や、1年中症状が続く通年性アレルギー性結膜炎、また、まぶたの裏の粘膜がでこぼこになったり黒目にも傷ができたりと、なかなか治りにくい春季カタル・アトピー性角結膜炎・巨大乳頭結膜炎といったいろいろなタイプがあります。
アレルギーってなんですか
アレルギーは、ギリシャ語で「変化した反応能力」を意味するそうです。そもそも私達の体は、病原体(細菌やウイルス)などの異物(抗原)に対し、抗体という抵抗力をつくりだし、抗原抗体反応によって病原体をやっつける力をもっています。これが免疫の「普通の反応」で、病原体から私達の体を守ってくれています。
ところが体内に侵入した異物に対し体が過敏に反応しすぎると、かえって私達に不都合な結果をもたらすことがあります。これが「変化した反応能力」つまりアレルギーです。
アレルギー反応を引き起こす抗原(アレルゲン)にはどんなものがあるの
アレルギー反応の抗原になるものを、アレルゲンといいます。アレルギー性結膜炎を引き起こすアレルゲンで多いのは、空中を漂って目の中に飛び込んでくるタイプの吸入性アレルゲンです。スギ・カモガヤ・ブタクサといった樹木や草花の花粉、ダニ・ハウスダスト(家の中のほこりのことで、ダニやカビ、動物のフケや蚊などがまざったもの)が代表的です。
アレルギー性結膜炎は目がかゆくなるのが特徴
アレルギー性結膜炎は充血・めやに・なみだ目といった結膜炎の症状に加え目が痒くなるのが特徴です。思わず目をゴシゴシこすってしまうほどのかゆみです。
このような症状はアレルギー反応の結果でてきたヒスタミンが、神経や血管を刺激するために起こります。まぶたの裏には粘膜のぶつぶつが増え、白目はむくんで、ときにはゼリーをのせたようにブヨブヨと、まぶたからはみ出してしまう事もあります。
花粉症ではくしゃみ・鼻水・鼻づまりという症状を伴う事もあります。
治療にはアレルギー反応をおさえる抗アレルギー点眼薬を
スギ花粉症などの季節型アレルギー性結膜炎ではまず抗アレルギー点眼薬を使います。抗アレルギー点眼薬はアレルギー反応で出来るマスト細胞のなかにあるケミカルメディエーターが結膜にばらまかれるのを防ぐケミカルメディエーター遊離抑制薬や、ヒスタミンが結膜の神経や血管に結合するのを抑え、目のかゆみや充血を起こさないようにするヒスタミンH1受容拮抗薬があります。
抗アレルギー点眼薬はほとんど副作用が無く安全に使う事の出来る薬ですが、花粉の飛ぶ量や目の具合によっては症状が治まらないことがあります。この場合ステロイド点眼薬を追加します。とてもよく効きますが、副作用として眼圧が高くなる事があります。必ず眼科医の指導を受けてください。
その他春季カタル・コンタクトレンズによるアレルギー性結膜炎もあります。