眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e45

投稿日 2011年9月1日

加齢黄斑変性 その2

院長 廣辻徳彦

加齢黄斑変性は、日本でも失明原因の第4位になっている病気です。前回の続きで、症状や検査についてのなどのお話をします。
黄斑部はフィルムの役目を果たしている網膜の中心部で、錐体細胞という大事な細胞が集まっています。加齢黄斑変性では、黄斑部が腫れたり(黄斑浮腫、網膜浮腫)液体がたまったり(網膜剥離)することで、ものが歪んで見える症状が出ます。これを「変視症:図1」と言います。異常な部分が大きいほど歪みも大きく見えますが、周辺部分は普通の見え方です。黄斑部の障害が進むと、中心部分が歪むだけでなく、「視力低下」が生じ、さらに進むと見えなくなってしまいます(これを「中心暗点:図2」と言います)。黄斑部の錐体細胞は色を感じる細胞なので、ここがダメージを受けてしまうと色が見分けにくくなる(色覚異常)こともあります。前回、黄斑変性には萎縮型と滲出型があると紹介しました。症状を自覚し始めてからの進行は、滲出型の方が早いことが多いです。しかしながら、どちらの型でも進行してしまうとかなりの視力低下、中心暗点を生じてしまいます。

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性が疑われた場合には、以下の様な検査を行います。
・視力検査:黄斑部は視力にとって一番重要な場所なので、視力を測定して経過観察します。
・アムスラーチャート:片眼ずつ方眼紙のような図(チャート)を見て、歪んで見えている範囲を検査しま   
す。自覚的な検査ですが、同じ条件で行えれば進行程度の評価にも役立ちます。(図3)
・眼底検査:医師が検眼鏡などで行う、眼底の出血や浮腫の状態の検査です。散瞳剤で瞳を開いて検査します。眼底写真を撮って記録を残しておけば、経時的な状態の変化がよくわかります。
・蛍光眼底検査:フルオレセインとインドシアニングリーンという2種類の造影剤を使って、網膜や脈絡膜の血管の状態を観察します。連続して写真を撮り、網膜や脈絡膜のどの部分が傷んでいるかを調べます。後で述べる治療の結果や経過を調べる上でも大切な検査です。(図4)
・光干渉断層計(OCT):目に見えない波長のレーザー光線を使って、網膜の断層像を撮影する検査です。CTやMRIのように、表面から見えない網膜や脈絡膜の出血や浮腫、新生血管などの状態を知ることができます。これも治療経過を調べる上で大切な検査です。(図5,6,7)

加齢黄斑変性

紙面が尽きてしまいましたので、次回に治療について書きます。(図は日本眼科学会ホームページより引用)