眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e24

投稿日 2009年12月1日

網膜剥離について

院長 廣辻徳彦

先日、内藤VS亀田のボクシングタイトルマッチが行われました。ボクシングと言えば脳内出血で亡くなってしまうケースすらありますが、眼にとっての有名なけがは「網膜剥離」でしょう。昔、辰吉丈一郎という選手がこの病気で引退かどうかもめました。1年前にも「飛蚊症」についてマンスリーで取り上げましたが、今回は飛蚊症にも関係ある「網膜剥離」について説明します。
飛蚊症について簡単に振り返ってみましょう。多くの場合自然におこる症状なのですが(いわゆる年のせい)、飛蚊症は網膜剥離の前駆症状としても有名です。下図の①は眼の中の硝子体という部分を示しています。点状のところが硝子体で、子供のうちはゼリー状ですが、成人になると液状のところ(図では空洞部分)が増えていきます。40歳ごろを過ぎると、②のように液状になった部分とゼリー状の部分が分離します(後部硝子体剥離といいます)。このとき境目付近に濁りが出て、その影を飛蚊症として感じます。③のように硝子体が網膜まで引き破ってしまうと網膜に孔があいて網膜剥離という病気を生じてしまいます。網膜が破れるのには、もともと弱いところがあるなど何らかの原因がありますが、痛みも全くないので見えにくくなるまで自分では全くわかりません。

網膜剥離

網膜剥離がおこるとはがれた部分の網膜のところが見にくくなるので、見える範囲が狭くなります(視野が欠ける)。出血が多い場合はそのせいで一気に視力が下がることもあります。はがれた網膜はだんだん広がるので、視野が欠けるところも広くなり、放置しているとほとんど見えなくなってしまします。ごく初期に見つかれば、網膜に開いた孔をレーザー光線で囲んで治療しますが(下図参照)、剥離が広がると手術が必要になります。手術にはほとんどの場合入院が必要です。
 このような硝子体の変化に伴う網膜剥離以外にも、糖尿病網膜症がひどくなっておこるもの、感染症やぶどう膜炎、アトピー性皮膚炎に伴うものなど、網膜剥離にもいろいろ種類がありますが、それぞれについては別の機会に説明します。一般的な網膜剥離の場合は、初回手術での治癒率は95%以上です。再発した場合や外傷の後、出血が多い場合や他にも合併症がある場合はその確率は少し悪くなります。手術の方法も大きく分けると2通りありますが、最近では硝子体手術という方法が多く行われるようになっています。網膜がはがれている期間が長いほど網膜の細胞が傷んでしまうので、手術で治っても視力回復が悪いとか
視野の暗い所が残るなど機能が回復しないことがあるので、早期の手術が勧められます。

網膜剥離

左は網膜裂孔の周りをレーザー凝固(多数の白い点)したところです。中央は剥離してしまった網膜と裂孔、右はその手術後で網膜剥離がなくなっています。