眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e25

投稿日 2010年1月1日

スポーツのけがについて その1

院長 廣辻徳彦

あけましておめでとうございます。お正月にはテレビで駅伝、サッカー、ラグビーなどのスポーツ中継が目白押しです。特に今年は冬季オリンピックやサッカーのワールドカップも開催されます。今は自分で身体を動かすことすらない毎日ですが、テレビの前にいる時間がついつい長くなってしまいます。今回はそんなスポーツに伴う眼の病気(けが)について説明します。
スポーツのけがは、ほとんどは何かと接触しておこります。軽い場合はわずかにこする程度ですみますが、格闘技、ラグビーでは相手とぶつかったり、ボールで受傷したりすることもあります。こういった打撲を「鈍的外傷」と呼びます。下に示す図も参考にしながら読み進めてください。

鈍的外傷

眼瞼(まぶた)には血管が豊富にあり出血しやすい特徴があります。鈍的外傷では眼瞼の腫れ、内出血、裂傷などが生じます。内出血がひどいと腫れて眼が開かなくなることもあります(試合後のボクサーを想像してください)。そのあとは1週間ぐらいパンダのように眼の周りが青黒くなってしまいます。裂傷ではかなり出血するので、縫合が必要になることもあります。眼球の表面にある結膜にも出血(結膜下出血といいます)することがあります。目が真っ赤になるのでとても心配になりますが、時間とともにほとんど自然に吸収してしまいます。
角膜が相手の指などでこすれると、すり傷が生じたり上皮(一番外側の皮)が剥がれてしまったりします。角膜には敏感な神経があるので、少しの傷でも痛み、涙、充血などの症状が強く、「痛くて眼が開けられない」、「まぶしい」などと感じます。ただ、角膜は傷を治す力が強いので、感染がないように治療すれば時間とともにほとんど元通りに治ります。鈍的外傷では角膜そのものがむくんで白く濁ること(角膜浮腫)もあります。この場合も時間とともに回復することがほとんどです。
鈍的外傷では眼球内での出血(前房出血、硝子体出血)や虹彩に損傷(虹彩根部離断)が生じることがあります。出血があれば、視力は一時的に低下します。軽い出血は自然に吸収しますが、量が多い時は手術が必要になります。眼圧が高くなることもあります。出血などが引けば多くの場合眼圧も安定しますが、眼圧が高いまま慢性的な緑内障になることもあるので経過観察が必要です。打撲によって水晶体の位置がずれることもあり、一部のずれを水晶体亜脱臼、完全にずれてしまうと水晶体脱臼といいます。視力などに影響がなければそのままで済むこともありますが、視力に影響があれば手術が必要になります。受傷時には症状がなくても、将来年をとって白内障手術をするときに影響が出て、手術がとても難しくなることもあります。(以下次号)

鈍的外傷