眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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眼の病気 No.e181

投稿日 2023年6月2日

身体障害について

院長 廣辻徳彦

今回は眼の病気の各論ではなく、病気によってもたらされた視力、視野の障害やその後遺症に対して、国が認める「身体障害」についてご紹介します。いろいろな身体の部位の障害に対応して「身体障害者手帳」が交付されますが、その制度の概要は「身体障害者福祉法に定める身体上の障害がある者に対して、都道府県知事、指定都市市長又は中核市市長が交付する。」とされています。根拠となる法律は身体障害者福祉法第15条です。交付対象者は、①視覚障害、②聴覚又は平衡機能の障害、③音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害、④肢体不自由、⑤心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害、⑥ぼうこう又は直腸の機能の障害、⑦小腸の機能の障害、⑧ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害、⑨肝臓の機能の障害、のあるものとされていて、重度の側から1−6級に分けられています。交付者数は令和3年度末現在で4,910,098人(1級:1,573,903人、2級:711,796人、3級:807,942人、4級:1,190,415人、5級:307,434人、6級:318,608人)ということです。(障害の「害」という漢字にはさまざまな意見がありますが、今回は厚労省のHPに従って表記します。また、身体障害者手帳とともに、療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の3種の手帳を総称して、一般的に「障害者手帳」と呼称されています。)
身体障害は、治療をしてもこれ以上良くならない状態が永続すると考えられる場合、もしくは治療法がない病気でさらに進行してしまう可能性が高い場合に認定されます。手術をすれば回復が期待できる白内障などでは対象になりません。眼に関しての身体障害は、①視覚障害の項目が該当します。視覚障害は「視力障害」と「視野障害」の2項目に分けられていて、視力障害は1-6級に、視野障害は2-5級に分類されています。本来の等級表をそのまま書くととても紙面に収まらないので、簡略化して以下に記載します。

表の中でいう視力とは、メガネなどで矯正して測定する「矯正視力」のことです。1級というのは、視力の良い方の眼の矯正視力が0.01(目の前で指の数が数えられる指数弁は0.01とみなします)しかなく、悪い方は手動弁(目の前で手を振るのがようやくわかる程度)以下の場合に認定されます。視野検査にはゴールドマン視野計と自動視野計という2種類の測定法があり、それぞれに測定方法と認定方法が規定されています。今回の表では指標の種類などが書ききれないのでわかりにくのですがご容赦ください。また、身体障害の等級には「指数」があり、1-6級それぞれに18、11、7、4、2、1と定められています。同じ視覚障害でもそれが重複すれば、例えば視力障害が2級(11)、視野障害が3級(7)であれば合計指数が18となり、1級に認定されるようになります。
 身体障害者手帳の交付には診断書が必要となります。これは医師であれば誰でも書けるというわけではなく、兵庫県であれば知事(神戸市、姫路市、尼崎市、西宮市、明石市はその市長)が指定した医師が書くことになります。身体障害者手帳を交付されたい人はいませんが、そうなってしまった時には公的福祉や交通料金の割引なども受けられます。該当する場合には取得を考えていただくのが適当なことかと思います。