眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療社団法人 広辻眼科

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眼の病気 No.e146

投稿日 2020年7月1日

小児の眼疾患(小児緑内障)

院長 廣辻徳彦

先月は子供に特徴的な網膜芽細胞腫という病気の紹介をしました。子供の眼の病気で注目すべきものもたくさんあるのですが、今回は子供の緑内障について書いてみます。緑内障という病気やその治療についてはこれまでも何回か紹介してきました。それは緑内障が日本人で後天性の視力障害(生まれた時には良い視力だったのに、成長してから病気になって視力が悪くなってしまう状態)を引き起こす第1位の病気だからです。普通の緑内障は多くは40代前後以降に発症することが多いのですが、子供にも緑内障は生じます。子供の緑内障は「小児緑内障」という名前で分類されています。マンスリーは教科書ではありませんが、緑内障の分類をお示しすると、
Ⅰ、原発緑内障(原発開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障、急性原発閉塞隅角緑内障など)
Ⅱ、続発緑内障(落屑緑内障、ぶどう膜炎に伴う緑内障、ステロイド緑内障など)
Ⅲ、小児緑内障
という大きな3つのカテゴリーの下に、括弧内に記載しているような細かい病型分類があります。
 小児緑内障も、大きく原発と続発に分類されています。原発とは明らかな原因がなくて発症するもの(緑内障では隅角というところにもともとの原因があると考えられるもの)、続発は他の部位か臓器、全身に何らかの異常があってその結果病気が引き起こされるものという意味です。小児緑内障をさらに細かく分類すると
Ⅲ、小児緑内障
 1 原発小児緑内障
  A 原発先天緑内障
  B 若年開放隅角緑内障
 2 続発小児緑内障
  ⅰ) 先天眼形成異常に関連した緑内障
  ⅱ) 先天全身疾患に関連した緑内障
  ⅲ) 後天要因による続発緑内障
  ⅳ) 白内障術後の緑内障
となるのですが、続発小児緑内障についてはかなり細かな説明が必要ですので、今回は分類で触れるだけにしておき、以下は原発小児緑内障について記載します。A 原発先天緑内障とB 若年開放隅角緑内障とに分類されますが、どちらも隅角の先天的な形成異常によって生じます。その異常が強度で生後すぐもしくは早期に高眼圧が生じて眼球拡大(「牛眼」と言います)などを生じるものを原発先天緑内障、異常が軽度で眼球拡大などが起こらず、概ね4歳以降に発症するものを若年開放隅角緑内障と分類しています。
 子供の病気の一番の問題は、異常があっても子供、特に乳児ではそれを訴えることができないということです。典角膜の直径の拡大、角膜の混濁、流涙、羞明(眩しさ)の訴え、などに親御さんが気づくことが多いのですが、乳児健診でも気づかれにくいことがあります。原発小児緑内障は、1996年の報告では発生頻度が3万4千人に一人、原発先天緑内障では10万人に一人とされているので、近年の出生数から考えれば日本では年間50人にも満たないでしょう。実は多くの眼科医が見たこと疾患ではありますが、原発先天緑内障は上に書いたように「牛眼」という別名を持ちます。生まれつき眼圧が高いと、まだ柔らかい眼球がその圧に負けて拡大し、角膜の直径まで大きくなる状態で、黒目がちな牛の目に似ているということでそう呼ばれます。具体的には角膜径が12mm以上あると要注意とされます。診断には眼圧測定を行いますが、その検査も乳児であれば覚醒下では困難で、眼圧測定のために毎回吸入麻酔や内服で傾眠状態にする必要があります。治療は眼圧下降を図るのは成人と同じですが、第一には薬物療法ではなく手術療法が選択される事が多く、手術が1回で済まないこともあります。早期発見が大切なのは成人の緑内障と同じですが検査がしにくい以上それは簡単なことではありません。
視力がこれから発育する途中の乳幼児では、適切に治療されても予後が難しいことがあります。珍しい病気ではありますが、子供にも生じる緑内障のお話でした。

上図:角膜と虹彩にはさまれた角の部分が隅角(◯の部分)。