眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療社団法人 広辻眼科

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眼の病気 No.e113

投稿日 2017年10月4日 (院長)廣辻徳彦

新しい器械のご紹介

5月に新しい検査器械「RTVue-WR Avaiti」についての紹介をしました。詳しくはホームページのマンスリー5月号をご覧いただければと思いますが、網膜の構造をMRIやCTのように観察できる器械で、平成20年に配置した先代よりはるかに繊細な構造を捉えることができます。技術の進歩は想像を超えるスピードで進んでいて、例えば今秋発売のアップル社のiPhoneXも大きく進化しているらしいです(私は当分iPhone 6ですけれど)。
医療機器を名がつくものは比較的高価なものが多く、簡単に購入したり更新したりできるものではありません。できれば長く使用したいのですが、古くなってしまったり、故障の不安があったりすると、治療や検査に使い続けることができなくなります。上述のRTVueを購入した後、6月のことでしたが、大学から受け入れている学生実習で「レーザー光凝固装置」の体験をしてもらおうとした矢先、突然動かなくなってしまいました。この器械は網膜剥離の原因となる網膜裂孔や、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などの治療に使われるものです。20年以上前に購入したものなので、メーカー修理も不能な状態でした。街のクリニックで絶対必要な装置かと言われると微妙ですが、もしなかった場合に網膜剥離が起こりかけている患者さんを、「当院で処置できません」と病院へと紹介するのも申し訳ないところです。台所事情から考えると簡単ではないのですが、メーカーさんと相談して白内障手術装置と合わせてならかなり勉強していただけるということになり、白内障手術装置とレーザー光凝固装置とを更新することにしました。今回はこれらの新しい器械についてご紹介します。
白内障手術装置には「センチュリオン」という大層な名前が付いています。イギリスの戦車やどこかのブラックカードと同じ名前です。これまで使用していた「インフィニティ」という機種も大変に素晴らしく、初めて使用した際にはこれほど安定して手術ができるのかと感心したぐらいの器械でした。当然今も、というかまだまだ十分現役で使用できます。しかし、そこが技術の進歩の素晴らしいところ、「センチュリオン」では白内障手術中の前房安定性、核の吸引や破砕の効率が格段に良くなっています。これでは何が良くなっているかわかりにくいですね。車の運転で言えば、以前は「ミッション車」でギアを2速、3速と入れ替えなければならなかったものが、「オートマチック車」では楽な運転ができるようになりました。今では「オートマチック車」の方が「ミッション車」よりも好燃費です。ギアだけでなく、運転そのものについても、坂道を楽に上る、カーブで安定して曲がる、万が一の時にも自動ブレーキがかかる、など最近の車の進歩には素晴らしいものがあります。安全に「運転できる」=「手術ができる」という観点で、全てにおいて高性能になったのが「センチュリオン」の機能なのです。もちろん、手術を受けている患者さんにとっては、手術の結果について器械がどちらであろうとも違いを感じることは何もありません。むしろ、術後に感じることができるような違いがあっては「えらいこと」です。器械の更新は、「術者=私」が安心かつ満足して手術をできる環境に、より一歩近づいたという状況なのです。
レーザー光凝固装置は「ピュアポイント レーザーコントロール」という機種で、網膜剥離の原因となる網膜裂孔、閉塞隅角緑内障、加齢黄斑変性症や硝子体手術にも使用できます。レーザー光凝固装置にも色々あり、様々な波長やレーザー照射のパターンを選択できる上位の機種もあります。しかし、実際に網膜裂孔などにはこの装置の持つ532nmの単色波長のグリーンレーザーで十分なので、治療に活用していきたいところです。
今後も「センチュリオン」と「ピュアポイントレーザー」を使用し、色々な疾患に対応したいと思います。