爽やかな十一月に入りました
理事長 廣辻逸郎
爽やかに山近寄せよ遠眼鏡 日野草城
爽やかや何かにつけて出て歩く 長谷川櫂
TV番組プレバトで夏井いつきさんの辛口添削で若い年齢層まで俳句を楽しむようになって好ましい事です。
十一月三日は文化の日です。奈良正倉院展に長蛇の列が御物拝観に開門を待っていると放映されていました。
今年の特別品「漆胡瓶(しっこへい)」は1200年前にこれだけの作品が作られたとは驚異です。もう一点『大幡残欠』は約10米もあって聖武天皇が亡くなられた一年忌祭に大仏殿前に飾られたそうで、その錦織を現代研究作成されていると聞きます。正倉院御物に限らず、神社仏閣の工芸品が現代工芸家によって受け継がれ制作されることは素晴らしいことです。
爽やかな秋空のもと菊花をめで展覧会を訪ね、御堂筋の銀杏並木の下ウインドウショッピングを楽しむのもいいでしょう。近くでは神戸の相楽園の菊花展が有名です。一年がかりで苗から育てて見事な大輪や懸崖花で腕を競い観客を魅了します。以前当院でも安倉在住の患者さんが秋になると大輪の菊鉢を玄関に並べて飾ってくださいました。永年大変楽しませていただきました。
文化の日は戦前明治節と言って明治天皇の誕生日で、崩御されてから天皇を畏敬するために明治節として国民の祝日でした。小学校ではこの日は講堂で校長先生の奉読される教育勅語を頭を下げて謹聴し、明治節の歌を歌います。
〽亜細亜の東 日出づるところ/聖の君の現れまして/
古き天地 閉ざせる霧を/大御光に 隈なくはらい/
教えあまねく 道明らける/治めたまえる 御代尊
文語調の意味も分からず歌ったものです。歌詞の内容も戦前そのものです。式が終わって紅白の饅頭を貰って帰ります。
東京代々木の明治神宮は大正九年創建され、空襲で焼失しましたが昭和三十三年に再建されました。広大な神宮内苑外苑の整備について詳細は省きますが、当初から天然林になることを避け、確なデザインと壮大な構想力で作られた森で、樫・椎・楠等常緑広葉樹を選ばれました。又樹木も全国から十七万本献木されたと記録されています。現在も神宮側で管理され動植物の保護にもかけがえのない森林と聞きます。
十月末に昭和天皇の末弟三笠宮が薨去されました。百歳のご長寿でした。昭和の御代が愈々遠くなりました。
健康とは! 100歳の世界
10月末にNHKで長寿の世界を探るという企画で放映されました。日本でも百歳以上が65,692人、65歳以上が人口の26%を越す長寿国になっております。100歳以上をセンテナリアンと呼ぶようです。コメンテーターに大学の老人研究の教授と105歳の日野原医師が出ておられました。
百歳研究の慶応大では炎症レベルを調査されて、長寿者は慢性炎症レベルが低い。サイトカインの発生が老化を促進する。と発表されていますが、研究室レベルの発表で一般人には分からない研究結果です。
地中海食事を続けていると1年後には炎症レベルが下降した。との成績も私達には直接関係ありません。日野原医師が自分の朝食を提示されて、ジュースにオリーブオイルを落として飲み、動物性より魚を主にして時間をかけて食事を摂ると言っておられたが、特別な献立とは言えません。
食事とは別に身体活動が大事で、8㎞の歩行、斜面の登り降りは微小循環(血流)をよくして酸素の摂取、老廃物の排除になる。という説明もありました。
心の持ちようも大事で、食事の満足感も慢性炎症を抑えると話が進められ、食事は満足感が大事で満腹はマイナスである。プラスは生きがいのある仕事をすることだと。
30分で長寿問題を解明しようとしても無理で、私の覚書説明も面白くなく、どうして長寿を保てるかとのお役に立たなかったと思います。
日本人がこれだけ長寿に生きられるのは医学医療の進歩で伝染病が減り、環境も改善されて身の回りも安全清潔に保たれている。世界一優秀な保険制度で医療も受け易くなっている。安全な食品が容易く手に入れることが出来る。地震・津波・台風という天災の危機は如何とも避けようがないが、何よりも大事なことは70年以上この国が戦争に巻き込まれなく、戦火の被害を受けずに済まされていることだと思います。日常の生活、職場の問題、学校のいじめと問題がなくもありませんが、心穏やかに、三度の食事が摂れ、安眠できる日々がどれだけ長寿にかかわっていることか。食べすぎ飲みすぎ遊びすぎ。過労は言うに及ばず。心優しく友愛の心で感謝して毎日を送りましょう。
健康長寿 自分で口から食事を摂り、自分で排泄が出来て、歩けることを願います。