緑内障−最近の検査など その1
院長 廣辻徳彦
マンスリーでは、いろいろな眼の病気について簡単な説明を書かせていただいています。広辻眼科のホームページではこれまでの内容を見ることができたのですが、先月からよりわかりやすくバックナンバーを検索できるようになりました。まずインターネットで広辻眼科のホームページを見つけてください。
「トップページ」→「目の病気」へと進むと目次のページになるので、読みたい項目を選んでください。
今回は緑内障という病気について、最近の検査を紹介します。緑内障は以前に書いたこともありますが、おそらく読まれていないと思いますので、今月はもう一度簡単に説明をさせていただきます。過去の記事をホームページで見ていただくと参考になると思います。
緑内障をとりあえず一言で説明するなら、「視神経が何らかの原因で障害され、特徴的な視野変化が生じ、眼圧を十分に下降させることにより進行を抑制できる病気」と言えます。何らかの原因と書いているのは、まだ緑内障の原因が分かっていないためです。昔は眼圧(正常は10〜21mmHg程度)が高い人に生じる病気といわれていましたが、眼圧が正常範囲内であっても緑内障になる場合があり、むしろ日本人で一番多いのはこの正常眼圧緑内障といわれるタイプです。緑内障の治療は眼圧を下げることなのですが、ある種の原因で眼圧が高くなる閉塞隅角緑内障や続発緑内障などでは、その原因を取り除くことが治療になります。
緑内障と言えば、「急に見えなくなる」とか「急に痛くなる」という印象を持っている方が多くいらっしゃいます。もちろんそういうタイプもありますが、実際には急激な自覚症状がないことがほとんどです。最終的には視力低下が出てきますが、その前には視野異常(視野欠損)という形で症状が現れます。視野異常は、下図のように中央部を少し外れたところから生じ、周りに広がって最後に中心部が残るパターンが特徴的です。それ以上進めば中心部も見えなくなってしまいます。上の3つは視野異常の時の景色の見え方のイメージ、下の3つは同じような時期の視野検査の結果です。視野検査というのは「見えている範囲を調べる検査」なのですが、緑内障の進行を確かめるためには必須のもので、定期的に行う必要があります。また、かなり進行して初めて自覚症状が出るので、症状が出てから受診するのでは治療が後手に回ってしまします。それではどうやって緑内障を見つければいいのでしょう。一番良いのは健診を受けることです。眼圧は血圧と違い自分では測れません。眼圧が高い場合は要注意になります。眼圧が正常でも眼底検査で異常があれば緑内障を疑います。
このとき大事なのが視神経の形です(下図参照)。視神経には図のように中央部にくぼんだ所があります(この部分を視神経乳頭陥凹と言います)。正常の眼(下図左)では視神経の直径を1とした場合、陥凹部の直径は比を取れば0.3程度です。しかし下図右で示すように、緑内障の眼では陥凹部が大きくなり、比にすれば0.9ぐらいになっています。健診の眼底検査でこのような視神経をみれば緑内障疑いとチェックされます。「高眼圧」や「視神経乳頭陥凹拡大」と指摘された場合には、緑内障を確かめるために視野検査などを行うことになります。次回からは視野検査よりも鋭敏に緑内障を見つけられる可能性がある最近の検査や、視野検査を時間の経過で解析するプログラムなどについて説明したいと思います。