目がよく充血します・・・翼状片について
院長 廣辻徳彦
最近目がよく充血する・・。年齢を問わずこのような症状はよく耳にします。目が赤くなる病気にはいろいろあり、「花粉症(=アレルギー性結膜炎)」でも「ドライアイ」でも充血します。結膜炎については以前に書きましたので、今回は「翼状片」という病気についてご紹介します。
翼状片というのは角膜(くろめ)の中心部に向かって結膜(しろめの表面にある半透明の膜)が3角状に伸びてくる病気です。たいていは鼻側から伸びてきますが、まれに耳側から伸びることもあります。原因はよくわかっていませんが、紫外線の刺激によるという説もあります。主な症状は充血と異物感で、角膜の中央付近まで伸びてくると乱視を引き起こし、中央部にかかってくると視力低下の原因となります。点眼薬で充血や異物感などの症状は軽減しますが、翼状片そのものは治りません。進行すれば手術での切除が必要になります。
翼状片は進行するのに数年以上かかります。明確な基準ではありませんが、下記写真に示すような大きさになれば手術の時期です。自覚症状で異物感が強い場合、充血がどうしても気になる場合などには早めに考えてもよいでしょう。翼状片が角膜の中央部に近づき乱視が出るようになれば、それ以上がまんせず手術を行うほうがよいと思われます。視力が低下するまで待つのは待ちすぎで、手術後に視力が回復しにくいことがあります。
翼状片の手術時期
A:角膜(くろめ)の端
B:瞳孔(ひとみ)の端
A→Bの1/3までは急がないで大丈夫。
A→Bの1/3~2/3+自覚で症状ある場合、
A→Bの2/3を越える場合は手術を考える。
翼状片は局所麻酔で、約20~30分程度の手術です。入院は必要なく、外来での日帰り手術となります。角膜から翼状片をはがし、取り除いた翼状片のところを細い糸で縫合します。手術後はゴロゴロとした異物感が気になりますが、日ごとに感じなくなっていきます。点眼薬や内服薬、必要であれば鎮痛薬などで経過を見ることになります。手術そのものはそれほど心配ないのですが、一番の問題は再発です。翼状片は良性の病気ですが再発すると進行が早いことが多く、「再発→手術」を繰り返すとキズの癒着で眼の動きが悪くなることもあります。再発予防のためには手術時にマイトマイシンという抗がん剤を使用したり、手術後に放射線治療を行ったりします。私自身はマイトマイシンを使っており、幸いひどい再発を経験したことはありません。比較的若い方(50才代以前)や大きい翼状片で再発しやすいといわれていますので、手術の時期はよく考える必要があります。