白内障 その1
院長 廣辻徳彦
あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
新春は白内障についての話です。白内障という病気についてはほとんどの方がその名前はご存じだと思います。すでに手術を受けられた方もたくさんいらっしゃることでしょう。加齢によってすべての人に生じ、進行して見えにくくなれば手術が必要になる病気です。当院でも今春、院内を改装して白内障手術を行うことにしました。その紹介も兼ねてシリーズで書かせていただきます。
以前自己紹介でも書きましたが、勤務医時代には大学病院で緑内障の治療を中心に仕事をしていました。緑内障とともに力を入れていたのが若手の先生たちへの手術指導で、眼科手術学会や白内障学会などで手術教育のシンポジウムも担当しました。私も通ってきた道ですが、医師になったからと言って誰もが最初から上手に手術できるわけではありません。大学や一般病院では若い先生に手術の実地教育をどうするかが大きな課題で、その過程で一定のジレンマが生じてしまいます。
平成19年秋に当院で勤務してからも、こだま病院で手術指導をしていた関係で同病院の施設を利用させていただき白内障手術などを行ってきました。今年から先方の都合で眼科の手術が中止されることとなってしまい、通院していただいている方に責任を持った手術ができるように当院を改装して手術室を作ることにしました。1月末から2月にかけてそれに伴う工事を行います。診察中の騒音や工事に伴う通行などにご迷惑をおかけしますが、ご容赦のほどお願いいたします。新しい手術室には最新の手術器械を配備し、3月頃から日帰りの白内障手術などを開始する予定です。今後ともよろしくお願いいたします。
さて、白内障そのものの話題に戻りましょう。眼球内には水晶体という凸レンズのような形をしたところがあり、網膜にピントを合わせる役割をしています。白内障とは何らかの原因で、その水晶体がにごってしまった病気のことをいいます。
左:正常な眼
水晶体を通って、網膜にピントが合う水晶体が透明なのでよく見える
右:白内障の眼
水晶体が濁っているので、網膜への光がさえぎられて見えにくくなる
白内障の主な症状は視力低下(かすみ目)とまぶしさです。白内障になると、すりガラスを通してものを見るような感じになります。初期のうちにはほとんど自覚症状はないのですが、次第に細かいものや遠くのものが見にくくなり、進行すると大きな文字やすれ違う人の顔まで見えにくくなります。ただし、普通は10~20年以上かけてゆっくりと進行するものです。部屋の中から晴れた屋外にでたときに見えにくいという症状で気がつくこともあります。多くの場合同じような時期に両眼に発症するものですが、進行に左右差がかなりある場合もあります。
次回からは原因や治療についてお話します。