語呂合わせ
院長 廣辻徳彦
今年も残すところあと2ヶ月、毎年のことですが月日が過ぎていくのを早く感じます。11月は「小の月」、すなわち1ヶ月が31日ない月に当たります。小の月を「西向く侍(二四六九士)」と覚えたのは子供の頃ですが、拳を作った時の出っ張りの部分を人差し指から小指まで順番に数えて、出っ張ったところが大の月、くぼみのところが小の月になるという覚え方もありました(7月、8月の折り返しで小指を2回数えるのがポイントです)。日本語はひらがな、カタカナ、漢字という組み合わせであり、また同じ「一」という漢字でも「いち、いつ、ひと(つ)、ひ」など読み方がいく種類かあるので、語呂合わせには便利な言語であると思います。中学生や高校生の頃、平安京遷都の西暦794年を「鳴くよ(794)ウグイス平安京」という語呂合わせで覚えた人は多いでしょうし、大化の改新は「無事故(645)で世直し大化の改新」などで覚えたものです。最近の教科書では、645年は中大兄皇子と中臣鎌足とが蘇我氏を滅ぼした「乙巳(いっし)の変」が起こった年であり、その後数年間に渡って続いた政治改革を大化の改新という解釈になっています。私も昔たくさん覚えたものですが、イギリスの東インド会社とインドに関わる大事な事件である「プラッシーの戦い」と「セポイの乱(現在はインド大反乱)」を、「プラッシー、イナゴ並べて(1757)踏み潰し」と「一発ご難(1857)のセポイの乱」と覚えたものがなぜか頭に残っています。広告や宣伝にも語呂合わせは使われています。若い人はご存じないかもしれませんが、静岡の伊東温泉のハトヤグループの電話番号は「4126(良い風呂)」で、CMソングとともに記憶に残る効果を出していました。語呂合わせのことを英語では「mnemonic:ニーモニック」というそうです。アメリカの五大湖(スペリオール湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖、オンタリオ湖)を頭文字で「HOMES」と覚えたり、アルファベットを曲(ABCの歌)にして覚えたりするのも「mnemonic」ということです。サイトを調べてみると、五大湖を西から「隅、冷え男(すみひえお)」、東から「オンエアで秘密(ひみつ)暴露のスペシャルトーク」と覚える語呂合わせが見つかりました。五大湖も世界地理では必要な知識のようです。
さて、11月は紅葉の季節でもあります。コロナ感染は第8波を心配される傾向も出てきましたが、全国的に旅行熱は上昇傾向です。せっかくの良い季節、注意は必要でしょうが楽しみたいものです。
健康とは!(インフルエンザにも要注意)
夏から続いたコロナ感染の第7波は収束しきったと言えないままにじわじわまた感染者数が増加している気配です。今年はそれに加えてインフルエンザの流行を懸念する声が出ています。季節が半年異なる南半球のオーストラリアで、今年の冬にインフルエンザ感染がコロナ感染症発生以来久々に流行したというという事実があったからです。しかもコロナ感染症も同時に流行したため、日本でもコロナ感染とインフルエンザ感染の同時流行が心配されているということのようです。
よくテレビにも出演されている、感染症専門の大阪大学の忽那先生の記事を参考にさせていただきますが、複数の呼吸器ウイルス感染が流行しているときに、あるウイルス感染に罹患すると、その感染で免疫系が変化して別のウイルス感染に影響を及ぼす「ウイルス干渉」という現象が起きることがあるそうです。免疫系が活発になって、別のウイルス感染を抑制する方向に働いてくれるとありがたいところです。しかし、未知の部分が多いとはいえコロナ感染とインフルエンザ感染の間ではどうも悪い関係に働きそうだということです。イギリスの調査で、コロナ感染と同時にインフルエンザ感染をした人の人工呼吸器管理リスクと死亡リスクが、それぞれ4.1倍、2.4倍であったという報告もあります。これからはコロナ感染の対策も緩和されていきますし、海外からインフルエンザウイルスの流入の機会も増えていきます。まだ流行が始まっているとは言えない状況ですが、アメリカや大阪府ではインフルエンザ感染者の報告が増えているようですので感染動向には注目したいところです。
それでは具体的な対策はというと、手洗いなどの基本的な行動以外ではワクチンの接種ということになります。どんなワクチンにも注射したところの局所的な腫れ、痛み、頭痛や全身的な倦怠感や発熱などを伴う可能性があり、最悪死亡例も報告されています。感染症を専門にされている別の先生が、「おそらくコロナウイルスワクチン接種後に関連した死亡例は国内で1500人を超える」とお話しされたのを直接聞きました。確かに心配ではありますが、3億人以上接種していることを考えれば0.0005%です。日本ではコロナ感染の死亡率が0.21%なので、私自身は機会を見てまたワクチンを打ちたいと考えています。インフルエンザワクチンの同時接種も可能です。最終的には各自の判断に委ねられなければならないところですが、この冬の感染症にはワクチンで備えることをお勧めしたいと思います。