スポーツは素晴らしい
院長 廣辻徳彦
現在11都府県に緊急事態宣言が出ています。現時点で延長の判断がありそうとの報道ですが、ブレーキとアクセルをどちらの足でどう踏んでいいのか混乱している様子の菅総理です。夏のオリンピック開催に向けて切り札的な扱いを受けているワクチン接種は、わが国でもようやく始まりかけています。しかし、まだ接種の準備もできていない国も多く、選手や観客の受け入れに関しては心配が尽きません。
1月には天皇杯サッカーや高校サッカー、ニューイヤー駅伝や箱根駅伝、高校、大学ラグビーやアメリカンフットボールのライスボウルなどスポーツイベントが盛りだくさんで、横綱不在の初場所は平幕の大栄翔が初優勝を飾りました。箱根駅伝では9区までトップを独走していた創価大学が、最終10区でまさかの失速、駒澤大学が逆転優勝を果たしました。私が注目している大学ラグビーでは、天理大学が関西の大学として実に36年ぶりの優勝を成し遂げました。天理大学はこの数年、準決勝、決勝戦まで駒を進めるものの、分厚い関東の大学の壁の前に涙を飲んできました。しかし、3度目の決勝の舞台に上がった今年、準決勝で明治大学、決勝では早稲田大学を完全に圧倒し、決勝史上で最多得点となる55点を挙げて初の栄光に輝きました。咋夏、天理大学ラグビー部は寮でクラスターが発生したため、練習に影響があっただけでなく大学の他の学生にも様々な中傷がありました。表彰式では早稲田大学の選手の多くがマスクをしていなかったのに、天理大学は全ての部員がマスクを着用していたのも印象的でした。チーム内で咋夏の経験に基づく規律を徹底していたことが伺えました。花園で活躍する高校生のほとんどが関東の強豪校へ進学する中、強いチームを育て上げた指導者には頭が下がります。来年も活躍を期待したいものです。
卓球の全日本選手権は無観客試合でしたが、石川佳純選手が伊藤美誠選手に逆転勝ちをして5年ぶりの日本一になった女子決勝も記憶に残る熱戦でした。一昨年のラグビーW杯を観戦して会場で見る面白さはわかっているつもりですが、無観客であっても素晴らしい試合には心に訴えかけてくるものがあります。オリンピックは世界一のスポーツの祭典で、しかも4年に1度しかありません。選手の皆さんの気持ちを考えるとやりきれないのですが、半年で世界の状況が安定するとは考えにくいところ、スポーツを楽しめる余裕のある状態になるまでもうしばらくは我慢が必要な様子です。
健康とは!(マスクは正しくしましょう)
1月には大学入試センターの共通テストがありました。大学入試センターに関係している各大学の2次試験の前に受験生が受ける試験です。私はその前身にあたる共通一次テストを昭和55年(第2回)に受けたかなり古い受験生ですが、やはりこの時期受験前に体調を崩さないように気をつけたものですし、子供の受験の時には気をつけさせた記憶があります。特に今年は緊急事態宣言下の試験でしたので、受験生だけでなく受け入れる会場側もいつもと違う準備とシステムで大変だったことと思います。
そんな中、会場で鼻出しマスクをしていたという理由で試験を失格とされた受験生がいたというニュースがありました。当初、見出しだけを見てなぜそんなことでと思いましたが、6回の注意を受け、別会場での受験の提案も断り、試験官の動画を撮影してスマートフォンから音楽を流し、最後はトイレに立て籠もって夜の10時に警察に連行された49歳の受験生であったことが後でわかりました。「何をか言わんや」です。全く同情の余地もない、もやは試験を妨害しに行ったのかと疑われるような行為ですが、同じ時期に昨年9月に飛行機内でマスクを拒否して緊急着陸させた上で飛行機を降ろされ、その後11月に別のホテルの食事会場でもマスクを拒否してもめた男が逮捕されていました。このような話には必ず「同調圧力が」とか「その人それぞれの事情が」とかいう擁護論を言う人が湧いてくるのですが、個人の事情は斟酌しますと言う条件がある中でのルールに従うのが筋というものです。
マスク警察、自粛警察など、過度に他人に要求することがあってはいけません。一方で、家族に感染者が出たから職場や学校、保育所に来るな、と言う過敏な反応も論外です。身体だけでなく心も健康でないと、このような反応になってしまうのかと思います。すでに世界では80人に1人が新型コロナウイルス感染している現在、明日自分が感染してもおかしくありません。感染してもすぐに自覚症状が出ないので、人との距離が近いところではマスクをして会話を少なめに、家族以外との会食はできるだけ避ける、手洗いを励行する、基本に返って気をつけましょう。先に書いたおかしな人たちとか国会議員とか、世の中には真似をしてはいけない人がたくさんいるので、反面教師には事欠きません。
入学試験は3月まで続きます。受験生の皆さんやご家族には、いい結果が出るようにお祈りします。