眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

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広辻眼科マンスリー 第m33

投稿日 2008年11月1日

灯火親しむ候

理事長 廣辻逸郎

朝夕少し肌寒くなり、日も短く秋風が吹く気候になると何となく物哀しくなりますが、一方お天気が良いと野山を散策したりスポーツに親しみたくなります。柿が色づくと医者が青くなるとも言います。天高く馬肥える秋です。そして灯火親しむ候です。夜長を読書に親しみましょう。
十一月三日の文化の日を中心に読書週間が開かれます。子どもも大人も活字離れが言われますが、宝塚市では図書館はいつも利用者で混雑しています。娘は里帰りした時子どもの頃に読んだ「少年少女世界文学全集」を捨てないでと愛着を持っておりました。息子も昆虫や動物図鑑のお蔭で虫に興味が持てたと言っておりました。
テレビのない、本もあまり買ってもらえなかった私達の時代でも、少年倶楽部の冒険小説やのらくろ・冒険ダン吉が何時までも忘れられないのですから、やはり頭の柔らかい時期にしっかりと読書し勉強することは単に知識だけでなく豊かな感性を育んでくれます。
進学校に入るには塾へ通はないと駄目。親が金持ちでなければ東大に入れない。田舎にいては国公立の有名校に入れない。現在は只管受験用勉強でなければ入学出来ない残念な時代です。旧制高校時代はその二年間に哲学書や人生論を学び、友人と論議して幅広い人格形成の基礎を培って大学に入りました。大阪の橋下知事が教育問題で論議を起こされていますが、私達の時代は授業をしっかり聞け、そしてよく遊べと担任の先生に教えられ、実際真面目に授業を受け、帰宅してからは近所の子供同士でよく遊びました。中にはおかしな教師もいたでしょうが、親は全面的に学校を信頼し、先生(教師でなく先生です)も応えてくれていました。
教室で先生の一言一句を聞き洩らさないと食い入るように見つめる子ども達の瞳であって欲しい。学校は知・徳・体育を学ぶ場です。
金銭的に恵まれなくても家族が助け合い、勤勉で、隣人を愛する環境に育ち、頭脳明晰・感性ゆたかな人が厚労省官僚になってくれていたら、医療問題を経済面からのみ立案した現在の後期高齢者保険制度や年金制度でないもっと血の通った制度を作ってくれたと思います。

健康とは! 食欲について

食欲の秋です。食欲について考えてみましょう。学問的には「空腹として感じられる食物を食べる願望。消化管と脂質組織と脳との厳密な相互作用で調節される」と却って分かりにくい説明です。
『ご飯が美味しい』というのは心身ともに健康なしるしです。消化器系だけでなく、体のどの部分が悪くても食欲がありませんし、心配事や仲違いしている人と一緒に食事をしても、砂を噛むような不味いものです。私がいつもお話しておりますが、楽しい食事は、唾液も消化液の分泌もよく、胃腸の働きもよくて、消化吸収も最良です。これは自律神経(感情神経)が影響します。そして、折角のご馳走も、スーパーで買ってきたポリの器のままぽんと出されたらどうでしょう。同じ食べ物でも、食器や盛付、配色も影響します。楽しい話題や静かな音楽も美味しさを増幅してくれることは皆様も経験されていることです。ということは、視覚・聴覚・触覚あらゆる感覚のバランスがとれて脳・神経・ホルモンがうまく働いて食欲増進し健康に繋がります。
いくらカロリー計算をし、栄養分析してもそのまま吸収するものではありません。ましてやサプリメントで健康が買えると思うことには賛成できません。連日新聞・テレビにサプリメントの広告が出ておりますが、相当な金額になります。その分新鮮な食品で『おふくろの味』料理されることをお勧めします。
前頭葉は本能の抑制機能に作用する重要な組織です。平素から情感・創造性の豊かな生活をして前頭葉の働きを活溌にすることは認知症予防にも大事なことです。