眼の健康とコンタクトレンズの専門医 医療法人社団 広辻眼科

(受付)午前8:30〜 午後2:00〜 (休診)土・日・祝祭日・年末年始 ご予約・お問い合わせ0797-72-6586

広辻眼科マンスリー 第m2

投稿日 2006年4月1日

最近の医療事情について

理事長 廣辻逸郎

四月から診療報酬と言って医師の診療費と薬剤費が少し変わります。(薬代が安くなります)医療にかかる費用を少なくして政府の負担を軽くする目的です。患者さんの負担が軽くなることは誰も賛成です。しかし所得によりますが65歳以上の老人医療費負担の1割が 2割に2割が3割負担になって大幅な値上げです。(十月からです)
昨年混合治療を取り入れるという政府案に医師会は反対運動をして法案は徹去されました。医師の利益のために医師会が反対したのでなく、一旦この案が通ると新しい検査や薬剤(例えば抗癌剤)など高い点数の検査・薬剤が保険適用されず金持ちしか利用できない怖れが多分にあります。現在普通に使われているMRIなど混合治療なら保険での使用はとても実現されなかったでしょう。
眼科でも眼底疾患の診断に有用な検査で保険に採用されず、ごく一部の病院しか使用されていない器械があります。
白内障手術で人工水晶体が保険適応になってどんなに福音がもたらされたことか。
現在日本は、生活環境の改善、食料事情の潤沢そして医学の進歩によって世界一長寿国になりました。一面生活習慣病や心療疾患等の増加が見られます。
高度な医療を安い費用で受けられるよう誰もが願っております。そのためには無駄な財源を削って医療費に回して欲しいものです

健康とは! 眠られぬ夜の悩みに NHKラジオ深夜便のおすすめ

眼科では比較的高齢の方が受診されますが、寝つきが悪い、夜中に目が醒めて寝られないという訴えの方が多いのに驚きます。そしてそのうちの多くの方が睡眠薬或いは精神安定剤を服用されています。なるべく薬は飲みたくない、睡眠剤中毒にならないかと不安を持ちながら。心療内科の先生は副作用の心配はないといっておられると患者さんは言われます。稀にははっきりした発言が出来なくていかにも安定剤を多用されていると感じる方もおられます。長期間の服用で昼間もなんとなく気力のない、ぼーとした感じの方を見ると、これでは直る病気も治らない。向うから病気が入ってくることを怖れます。
私は寝られないと悩む方にNHKラジオ深夜便を聞かれるよう勧めております。毎晩11時15分から朝5時まで。ボリュームを下げてスイッチONで聞きましょう、エッセーあり、歌謡曲・童謡・熱中熟年そして4時からこころの時代と色んな経験を持った方の話があります。アンカーに往年の名アナウンサーが交代で担当し、各曜日でファンが付いている感じです。
全部聞く必要はありません。ただアナウンサーの抑揚の効いた話し振りに聞き入っていると必ず寝てしまっています。精神を集中することで、いろんな雑念に惑わされる事無く睡眠に入れるのです。トイレに起きた後目が醒める方もそこからラジオを聞いてご覧なさい、また直ぐ眠りに入れます。終りまで聞けたらああいい話が聞けたと喜べるし、寝てしまっておれば睡眠できたことを感謝しましょう。
薬やサプリメントに頼らない健康法の一つとお勧めです。

目の病気 結膜篇

病気を分類する時、先ず炎症性と非炎症性(感染と非感染)に分けます。
1 炎症(感染性) 急性と慢性
【a急性結膜炎】
肺炎球菌・ブドウ球菌・インフルエンザ球菌等の細菌感染によるのは、抗生剤で早く治癒します。しかしビールス感染による結膜炎は伝染性が強く、抗生剤も効きにくく要注意です。ビールスによって、潜伏期間症状が違いますが、診断キットも開発されて、早期の診断が確実になってきました。家庭・学校・職場で他人に感染ささないよう学校・職場は約1週間休みましょう。手洗いとタオルの共同使用は厳禁です。
【bクラミジア感染症】
昔はトラコーマの病原体として多かった伝染性眼疾患でしたが、現在殆どみません。しかし最近は性器感染として要注意です。
2 非炎症(非感染性)
【aアレルギー性結膜炎】
花粉症はよくご存知のとおりです。杉花粉以外、檜・稲科の雑草の花粉やほこり・ペットの毛その他蛋白質系の物すべてアレルギーの原因(抗原)になります。学問的にはアレルギー反応は抗原抗体反応の異常によるものですが難しい話は避けます。治療は対症的に点眼薬を使用します。
3 球結膜下出血
いわゆる白目の出血です。眼球の半分時には白目全体が真赤になってびっくりして来院されます。休日に電話がかかる事も稀ではありません。眼底出血或いは脳出血の前兆で無いかと心配されてのことです。目を打った、何かに当ったという外傷性でない場合殆ど心配ありません。原因は不明ですが、無意識に目をこすったり、怒責といってきばったりして起こす事もあります。出血の程度にもよりますが、5~10日で吸収されます。目を温めるのも吸収を早めておすすめです。こんな機会に目の検診をするのもよいでしょう。
4 結膜結石 結膜異物
まぶたの裏に結石が出来て角膜を傷つける事、また異物が入って泣かされた経験がおありでしょう。歩行中にほこりや鉄粉が入る事があります。珍しいのは植木にいる毛虫の棘が刺さる事があります。宝塚は植木ところで植木の職人さんが目が痛いと言って来られたらこの棘が刺さってないか入念に調べます。毛虫の棘は結膜にすーと突き刺さって頭だけしか見えないので見落としがちです。
結膜の奥にコンタクトレンズが入り込んで長期間わからなくて過ごし、目脂が出てきてその原因がCLと判って、CLを取り出してやっと解決した話があります。これで思い出しましたがある農婦が矢張り異物感と目脂で来院し、よく診たら、結膜の奥から稲の実が、それも芽を出していた。目から芽が出てきて目出度いと落語のようなお話があります。鎌で稲を刈ったり、手掻きの脱穀機で脱穀した頃の話は若い方には通じないでしょうね。
青い晴天の下、麦藁帽子にタオルを首に農家の人達の懐かしい光景を思い出します。
5 眼の充血
患者さんんが眼が赤いと来院された時、眼科医はその充血が充血かそれとも出血か、さらに結膜性の充血か、深い組織の病気に由来する充血かを区別します。 医学的には前者を結膜充血。後者を毛様充血と言います。毛様充血というのは結膜より深部の強膜や虹彩に由来する病気の時の充血です。深紅色といってやや濃い充血です。痛みが伴いますし、視力に影響する病気ですから早期の受診が必要です。

今月は結膜の主な病気を説明しました。病気について気軽にご質問下さい。